備えは普段使い?しまっておく?
- インドネシアで、モスクの拡声器を地震の警報に使う実験が進んでいます。礼拝の時刻を知らせる呼びかけが1日5回流れている、あのスピーカーです。研究者が挙げた強みは、音の大きさではなく、1日5回鳴っていて住民が自分たちで手入れしている設備だ、という点でした。
- 「使わない備えは、いざという時も使えない」
- 「手を付けないから、いざという時にある」
どっちの味方?最初の印象で選んでください。
あなたが味方した 普段使い派 の言い分
台所の下の棚に、水のペットボトルと、レトルトのごはんを並べています。手前から順に使って、使った分だけその週に買い足します。開けた日に、次のひと袋を買う。だから棚の中身は、いつも入れ替わっています。懐中電灯は、夜に犬を連れて出るときに持って行きます。電池が弱っていれば、歩いているうちに自分で気づきます。
こうなったのは、実家の押し入れを片づけた日からです。奥から出てきた防災袋を開けると、乾パンの袋がふくらんでいて、電池は液が漏れたまま固まっていました。親は毎年、うちは備えてあると言っていました。備えてあったのは、袋を買ったという記憶だけでした。
人には言いませんが、箱のまま置いている家を見ると、安心を買ってそれで終わりにしたんだなと思います。備えは、持っているかどうかではなく、手が場所を覚えているかどうかです。暗い部屋で手を伸ばして、迷わず取れるか。普段触らない物の置き場所を、人は覚えていられません。
あなたが味方した しまっておく派 の言い分
押し入れの右下に、決まった箱を置いています。中身は水と食べ物と、ラジオと、電池です。箱には触りません。家族の全員が、あの箱の場所を言えます。子どもにも、ここだけは勝手に開けるなと言ってあります。季節の変わり目に箱を出して、中を見て、入れ替えたら、また同じ場所に戻します。開けるのは、そのときだけです。
前は、普段使いで回していました。使った分を買い足す、あのやり方です。ある晩にガスが止まって、棚を開けたら、何も残っていませんでした。家族が普通のごはんとして食べていたからです。誰も悪くありません。回すというのは、減ったら買うという約束を、全員が毎日守るということです。わたしの家では、守れませんでした。
人には言いませんが、回している人の話を聞くと、不安になります。今、水が何本あるか、その場で答えられるのか。手前から使っていると、減っていることが見えません。手を付けないと決めた箱だけが、開ける日まで減りません。わたしが欲しいのは、慣れではなく、確かにあるという一点です。
どちらにも入れない立場 置き場所のない人
ワンルームで、押し入れも、空いた棚もありません。箱を置けば、寝る場所が狭くなります。回すにも、しまうにも、置き場所が先に要ります。どっちの話も、置ける家の人の話だと思って聞いています。
理由を聞いた今、もう一度選ぶ
言い分は、世間の声をもとに編集部が脚色したものです。実際の発言と出典は、元ネタの記事にあります。
元ネタを読む →モスクのスピーカーで地震警報、日本なら寺の鐘でできるのか