何で負けたのかが分からない
柔道・鈴木桂治全日本男子監督
写真はイメージ Photo by ARTO SURAJ on Unsplash
世界柔道で金8個、鈴木桂治監督が「有効」の判定に疑問を示した
柔道の世界選手権で、日本は金メダルを8個取った。その2日後の2026年10月13日、男子代表の鈴木桂治監督が話したのは、勝った理由ではなく判定のことだった。デイリースポーツが同じ日に伝えた。
「何で負けたのかが分からない」
大会はアゼルバイジャンのバクーで、10月4日から11日まであった。最終日の混合団体戦(男女3人ずつの6人で戦う団体戦)で、日本はロシアとの決勝に4対1で勝ち、2大会ぶり、8度目の優勝。個人戦で7階級を制しているので、この大会の金は合わせて8個になる。
前の大会、2025年のブダペストでは3位に終わり、7連覇が止まっていた。そのあと、男女別々だった強化合宿を一つにした話は、本誌が10月12日に伝えている。女子代表の塚田真希監督は「男女で一丸となって闘えた成果」と話した。
「有効の範囲が広すぎる」と監督は言う
鈴木監督が疑問を向けたのは、有効という点の付け方だ。2017年に一度なくなり、2025年に戻ってきた。指導の数ではなく技で勝ち負けが決まるように、というのが戻した理由だった。
では、何が引っかかったのか。時事通信が10月10日に伝えたところでは、技を受けた側がうつぶせで着地しても、腹部か骨盤の左右両側が畳に付いていなければ点と見なされる。点になる範囲が、実際には緩くなったということだ。鈴木監督は「(海外勢同士の試合でも)これで決着がついちゃうの、というのが何個もあった」と話した。
鈴木監督が挙げたのは、男子100キロ級の決勝だ。勝負は延長戦。新井道大(東海大)の左大内刈りに、審判はまず技ありを出した。だが映像を確かめたあと、判定はイリア・スラマニゼ(ジョージア)の大内返しによる有効に変わり、新井の負けが告げられた。2年連続の銀メダルである。鈴木監督は「受け入れるしかないが、あの判定は僕はないと思っている」と話した。
ただ、新井本人は審判を責めていない。「相手のコントロールがうまかった。自分が両手を離さなければ、また違った結果になっていた。自分が弱かった」
13日、鈴木監督はこう続けた。「取り入れた有効の範囲が非常に広すぎるのと、果たしてこれが正解なのかと非常に疑問に残る」「転んでも滑っても有効は、柔道とは違った勝敗の決まり方をしてしまう」。新井が負けたあと、ほかの国の監督が何人も寄ってきて「判定を含めて、こんな試合内容でハッピーなのか」と声をかけてきたという。
では、日本は損をしただけなのか。全日本柔道連盟の山田利彦強化委員長は「投げ技をしっかりと掛ける日本の選手には、追い風になった部分もある」とも話している。
最重量級では、組み手が通用しなかった
苦しんだのは、いちばん重い階級だ。男子100キロ超級の中野寛太は、3回戦で前回王者のイナル・タソエフ(ロシア)に敗れた。女子78キロ超級は、新井万央が準々決勝で反則負け。3年ぶりに世界選手権に出た素根輝も、1回戦で敗れた。男女ともメダルなしだった。
鈴木監督は「日本選手の技術的なうまさや、組み手が通用しなくなった。非常に厳しい」と話した。組み手とは、相手の袖や襟をどう持つかの取り合いのことだ。塚田監督は「勝ち上がっている選手の良さを参考にしながら、強化に励んでいきたい」と話した。
選手たちは10月13日、成田空港に帰国した。全日本柔道連盟のニュース一覧に、大会の総括はまだ出ていない。
決勝の前、鈴木監督は恩師の故・斉藤仁さんの言葉で選手を送り出していた。「借りは早いうちに返した方がいい」。前の大会の借りは、その日に返した。男女そろって合宿をしたチームは、混合団体の王座を取り返した。それでも最重量級ではメダルに届かず、判定の基準には監督自身が疑問を抱いたままだ。ロサンゼルス五輪まで、あと2年ある。
- 柔道のルール(全日本柔道連盟・一本/技あり/有効/指導/反則負けの定義。本文を開いて確認)
- 2026年バクー世界柔道選手権大会(全日本柔道連盟・大会期間と混合団体の実施日)
- お知らせ(全日本柔道連盟・10月13日時点で大会の総括なし。最新は10月5日付)
- 柔道 鈴木桂治監督 有効基準に疑問と指摘「柔道魅力的とは相反している」「なぜ負けたか分からない」各国からも同意見(デイリースポーツ・10月13日。本文を開いて確認)
- 柔道ニッポンが王座奪還 「借りは早いうちに」故斉藤仁氏の言葉で選手を送り出しロシアに4-1混合団体快勝(デイリースポーツ・10月13日。本文を開いて確認)
- 「有効」出やすく、早い「指導」=ポイント決着へ傾向変化(時事通信・10月10日19時42分配信。ページは開けず、検索結果に出た本文の抜粋で確認)
- メダル遠い最重量級 世界との差、男女とも痛感―世界柔道(時事通信・10月11日9時28分配信。ページは開けず、検索結果に出た本文の抜粋で一部を確認)
- 新井道大、判定に泣く 「技あり」覆り、金逃す―世界柔道(時事通信・10月10日9時50分配信。ページを開けず未確認)
- 柔道・新井道大、微妙な判定での銀に「自分が弱かった」 世界選手権(日本経済新聞・10月10日。ページは開けず、検索結果に出た本文の抜粋で引用を確認)
- 【柔道】日本、混合団体で王座奪還(日刊スポーツ・10月12日。4対1、2大会ぶり8度目、金8個)
- 【柔道】21歳の新井道大2年連続銀、微妙判定も(日刊スポーツ・10月10日。延長戦の経過と判定の取り消し、2年連続銀)
- 【ニュース】ジョージア歴史的な初優勝、日本は3位に終わる/ブダペスト世界柔道選手権2025 男女混合団体戦(eJudo・前の大会の3位と7連覇ストップ)
- 2025-2028 国際柔道連盟試合審判規程の変更点について(全日本柔道連盟・有効の復活と、技による決着をめざすねらい)
- 村尾「理想の試合できた」 柔道帰国、嘉重も胸張る(東京新聞/共同通信・10月13日の成田空港帰国)
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