10/13 22:50 更新

何で負けたのかが分からない

柔道・鈴木桂治全日本男子監督

写真はイメージ Photo by ARTO SURAJ on Unsplash

10/13 18:12 / 発信国:日本

世界柔道で金8個、鈴木桂治監督が「有効」の判定に疑問を示した

柔道の世界選手権で、日本は金メダルを8個取った。その2日後の2026年10月13日、男子代表の鈴木桂治監督が話したのは、勝った理由ではなく判定のことだった。デイリースポーツが同じ日に伝えた。

「何で負けたのかが分からない」

大会はアゼルバイジャンのバクーで、10月4日から11日まであった。最終日の混合団体戦(男女3人ずつの6人で戦う団体戦)で、日本はロシアとの決勝に4対1で勝ち、2大会ぶり、8度目の優勝。個人戦で7階級を制しているので、この大会の金は合わせて8個になる。

前の大会、2025年のブダペストでは3位に終わり、7連覇が止まっていた。そのあと、男女別々だった強化合宿を一つにした話は、本誌が10月12日に伝えている。女子代表の塚田真希監督は「男女で一丸となって闘えた成果」と話した。

「有効の範囲が広すぎる」と監督は言う

鈴木監督が疑問を向けたのは、有効という点の付け方だ。2017年に一度なくなり、2025年に戻ってきた。指導の数ではなく技で勝ち負けが決まるように、というのが戻した理由だった。

では、何が引っかかったのか。時事通信が10月10日に伝えたところでは、技を受けた側がうつぶせで着地しても、腹部か骨盤の左右両側が畳に付いていなければ点と見なされる。点になる範囲が、実際には緩くなったということだ。鈴木監督は「(海外勢同士の試合でも)これで決着がついちゃうの、というのが何個もあった」と話した。

鈴木監督が挙げたのは、男子100キロ級の決勝だ。勝負は延長戦。新井道大(東海大)の左大内刈りに、審判はまず技ありを出した。だが映像を確かめたあと、判定はイリア・スラマニゼ(ジョージア)の大内返しによる有効に変わり、新井の負けが告げられた。2年連続の銀メダルである。鈴木監督は「受け入れるしかないが、あの判定は僕はないと思っている」と話した。

ただ、新井本人は審判を責めていない。「相手のコントロールがうまかった。自分が両手を離さなければ、また違った結果になっていた。自分が弱かった」

13日、鈴木監督はこう続けた。「取り入れた有効の範囲が非常に広すぎるのと、果たしてこれが正解なのかと非常に疑問に残る」「転んでも滑っても有効は、柔道とは違った勝敗の決まり方をしてしまう」。新井が負けたあと、ほかの国の監督が何人も寄ってきて「判定を含めて、こんな試合内容でハッピーなのか」と声をかけてきたという。

では、日本は損をしただけなのか。全日本柔道連盟の山田利彦強化委員長は「投げ技をしっかりと掛ける日本の選手には、追い風になった部分もある」とも話している。

最重量級では、組み手が通用しなかった

苦しんだのは、いちばん重い階級だ。男子100キロ超級の中野寛太は、3回戦で前回王者のイナル・タソエフ(ロシア)に敗れた。女子78キロ超級は、新井万央が準々決勝で反則負け。3年ぶりに世界選手権に出た素根輝も、1回戦で敗れた。男女ともメダルなしだった。

鈴木監督は「日本選手の技術的なうまさや、組み手が通用しなくなった。非常に厳しい」と話した。組み手とは、相手の袖や襟をどう持つかの取り合いのことだ。塚田監督は「勝ち上がっている選手の良さを参考にしながら、強化に励んでいきたい」と話した。

選手たちは10月13日、成田空港に帰国した。全日本柔道連盟のニュース一覧に、大会の総括はまだ出ていない。

決勝の前、鈴木監督は恩師の故・斉藤仁さんの言葉で選手を送り出していた。「借りは早いうちに返した方がいい」。前の大会の借りは、その日に返した。男女そろって合宿をしたチームは、混合団体の王座を取り返した。それでも最重量級ではメダルに届かず、判定の基準には監督自身が疑問を抱いたままだ。ロサンゼルス五輪まで、あと2年ある。

出典

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