技ありでガッツポーズ
有効で一転
柔道「有効」が戻った狙いと、世界選手権で銀の新井道大
写真はイメージ Photo by ARTO SURAJ on Unsplash
技で決着させるために足した「有効」が、世界柔道で新井道大の技ありを消した
柔道の「有効」が戻ってきたのは、選手に技で試合を決めさせるためだった。全日本柔道連盟(全柔連)の広報誌「まいんど」vol.43に、その狙いが書かれている。世界柔道選手権は、アゼルバイジャン・バクーで10月4日から11日まで行われた。その有効が、男子100キロ級決勝の勝敗を分けた。
新井道大(東海大)は、延長に入った直後に技ありを取った。だが映像の確認でそれが消え、代わりに相手に有効が付いた。銀メダルだった。新井は10月10日の日本経済新聞に「相手が強くて自分が弱かった。ただそれだけ。最後は審判が決めることなので」と話した。この判定に男子代表の鈴木桂治監督が疑問を示した話は、本誌が10月13日に伝えた。では、この点は何のために戻ってきたのか。
狙いは技で決着。抑え込みは5秒で点になる
「まいんど」vol.43は、2025-2028年の試合審判規程をこう説明している。有効は2017年にいったん無くなり、2025年2月から復活した点だ。近ごろは、技を掛け合わずに相手の「指導」を待つ試合が増え、延長のゴールデンスコアまでもつれる試合も目立っていた。そこで点の段階を増やし、選手が自分から技で勝ちを取りにいくようにした、という筋だ。
抑え込みの秒数も3段階になった。5秒で有効、10秒で技あり、20秒で一本。たった5秒、畳に押さえていれば点が入る。
ここが、ややこしい。国内の扱いは少し違う。全柔連は4月21日、こう通知している。自分たちが主催する大会以外では、設備や条件がそろわず「公平性が保てない」。だから有効をどう扱うかは、大会ごとに定めてほしい、と。
同じ規程で、日本は金7個
バクーでは、その有効が出やすくなっていた。時事通信は10月10日、「技を受ける側がうつぶせで着地しても、腹部か骨盤の左右両側が畳に付いていなければポイントと見なされる」と伝えた。偽装攻撃への指導も、早く出ていたという。
同じ記事で、全柔連の山田利彦強化委員長が話している。「この大会になって、いきなり厳しくなった」。ただ、こうも付け加えた。「投げ技をしっかりと掛ける日本の選手には、追い風になった部分もある」。日本は個人戦で金7個を取り、男女混合団体でも優勝した。
鈴木監督は10月13日、デイリースポーツに「転んでも滑っても有効は、柔道とは違った勝敗の決まり方をしてしまう」と話した。同じ意見は各国の指導者からも出ていると、この記事は伝えている。新井の決勝については、時事通信に「受け入れるしかないが、あの判定は僕はないと思っている」と話していた。
ネットの評判
鈴木監督の発言を伝えたデイリースポーツの記事は、Yahoo!ニュースにも配信された。コメントの数は、本誌が10月13日の昼に見たときの71件から、同じ日の21時台には81件になった。どんな声が多いのかは、コメントの本文を読めなかったので分からない。
全柔連のお知らせ一覧に、バクーの総括はまだ出ていない。10月13日21時台でも、いちばん新しい掲載は10月5日付だ。鈴木監督は「大会のアンケートがあるので、現場の意見として出していけたら」と話している。技で決着をつけるために足した点が、技ありを消すこともある。その判定で、新井は金メダルを逃した。
- 柔道のルール(全日本柔道連盟・抑え込みの秒数=一本20秒/技あり10秒以上20秒未満/有効5秒以上10秒未満、ゴールデンスコアは一本・技あり・有効・反則負けで決着、偽装的な攻撃の定義。テラスが本文を開いて確認)
- 柔道 鈴木桂治監督 有効基準に疑問と指摘(デイリースポーツ・2026年10月13日17時4分配信。鈴木監督の発言、有効の範囲の拡大、各国からも同意見。ライブドアニュース配信版をテラスが本文を開いて確認)
- 同記事のデイリースポーツ版(元ページは開けなかった)
- 広報誌「まいんど」vol.43(全日本柔道連盟・2025-2028年規程の解説。有効を足した狙い=技で決着、ゴールデンスコアと指導狙いの増加、抑え込みは一本20秒・技あり10秒・有効5秒。シラベが本文を開いて確認)
- 本連盟主催大会以外における国際柔道連盟試合審判規程改正に伴う「有効」の取り扱いについて(全日本柔道連盟・2026年4月21日。「公平性が保てない」と判断し、大会ごとに扱いを定めるよう求めた通知。シラベが本文を開いて確認)
- お知らせ(全日本柔道連盟・10月13日21時台でもバクーの総括はなく、最新は10月5日付。シラベが本文を開いて確認)
- New Rules: What to Remember(国際柔道連盟・2024年12月17日。有効が付く着地の形。シラベが本文を開いて確認)
- 柔道ルール、「有効」が復活 ロス五輪に向け変更(共同通信/デイリースポーツ・2024年12月13日。2017年の廃止と2025年2月からの復活、有効は一本・技ありに次ぐ点。シラベが確認)
- 2026年バクー世界柔道選手権大会(全日本柔道連盟・大会期間、日本代表、男子100キロ級の順位、個人戦の金7個。シラベが本文を開いて確認)
- 男女混合団体戦 全試合結果/バクー世界柔道選手権2026(eJudo・混合団体の優勝は日本。シラベが確認)
- 男子100kg級 全試合結果/バクー世界柔道選手権2026(eJudo・優勝イリア・スラマニゼ、準優勝新井道大。無料部分)
- 新井道大、判定に泣く(日刊スポーツ・10月10日。延長の技ありが映像の確認で相手の有効に変わった経緯。シラベが本文を開いて確認。テラスは同サイトを開けなかった)
- 柔道・新井道大、微妙な判定での銀に「自分が弱かった」 世界選手権(日本経済新聞・10月10日。新井の発言。ページを開けず、引用を確認できていない)
- 「有効」出やすく、早い「指導」=ポイント決着へ傾向変化―世界柔道(時事通信・10月10日。有効の基準、偽装攻撃の指導、山田利彦強化委員長の発言。robots.txtで開けず、確認できていない)
- 新井道大、判定に泣く 「技あり」覆り、金逃す―世界柔道(時事通信・10月10日。鈴木監督の「受け入れるしかないが」の発言。robots.txtで開けず、確認できていない)
- 同記事のYahoo!ニュース版(コメントの数。開けず、71件・81件を確認できていない)
- 世界柔道で疑問が出た「有効」、全柔連は4月に「公平性が保てない」と通知していた(本誌・2026年10月13日公開。前の記事。ページを開けなかった)
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