10/14 18:26 更新

AI使って『ゴジラ気分』?

――幕張メッセの展示で、45秒後に出てくる映像

写真はイメージ Photo by Ramon Buçard on Unsplash

10/14 14:06 / 発信国:日本 / 記者:工藤

幕張メッセでゴジラになれるAI、元は体操の審判を助けていた

幕張メッセの富士通ブースに、4台のカメラで囲まれた一角がある。その前に立ち、建物を壊すつもりで大きく動く。45秒ほど待つと、自分の動きそのままに、ゴジラが街を壊している映像が出てくる。

「GODZILLA in MOTION」という体験展示だ。CEATEC2026で、富士通が東宝の協力のもとに出した。専用のスーツも、体に貼るマーカーもいらない。カメラが撮った動きを骨格認識AIが読み取り、ゴジラのCGに移す。できた映像は、その場でQRコードから受け取れる。

なぜ、ゴジラなのか。富士通はゴジラを、自然災害のたとえとして使っている。ブースのテーマは「『もしも』に挑む、確かな力を。」。来場者がゴジラになる展示と、災害に備える展示が、同じブースに並んでいる。

元は、体操の審判を助けるAIだった

技術の名前は「Human Motion Analytics」。出発点は、遊びではない。体操の採点だ。

体操の平均台がある練習場
写真はイメージ Photo by Brett Wharton on Unsplash

富士通は2016年5月、日本体操協会と組んで、体の動きを立体的に測り、採点を助ける技術の共同研究を始めた。国際体操連盟とも手を組み、2019年10月のシュツットガルト世界選手権から、実際の大会で使われた。2023年のアントワープ大会では、10種目すべてに広がった。選手に反射マーカーを付けなくても、演技の1コマごとに、関節の角度まで数字で見られる。富士通は2023年10月、この技術を2024年4月から順に、流通や医療といった産業にも提供すると話していた。

審判の目を助けるために磨いた技術が、今は来場者のゴジラ歩きを読んでいる。同じなりきり体験は、2026年3月の見本市「MWC26」にも出ていた。半年で2回、仕事のための技術が、見本市の呼び物になったわけだ。AIの見せ方は、遊園地の出し物に近づいてきたように見える。

駅に集まる人の流れ
写真はイメージ Photo by Fons Heijnsbroek on Unsplash

同じブースで、25万人をどう逃がすか

もう一つの体験は、遊びではなかった。

東京湾からゴジラが上陸し、約60分後に川崎駅のあたりに着く。その日、駅の周りでは5万人の都市型フェスが開かれている。地域の住民や買い物客を合わせて、逃がす相手は25万人。

来場者は、打つ手を選ぶ。用意されているのは5つ。外国語のできる誘導スタッフを置く。人混みに呼びかける「DJポリス」を出す。大きな画面で知らせる。駅へ向かう人を途中で抑える。道路を歩行者だけにする。選んだ手をソーシャルデジタルツインの上で走らせると、結果が返ってくる。

本当に、そんな予測ができるのか。富士通によると、人が損得だけで動くわけではないことまで織り込んでいる。筋の通らない行動や、行動経済学でいう思い込みのくせも、AIに覚えさせているという。

結果は、15分足りなかった

で、どうなったか。

この体験を試したマイナビニュースの記事によると、川崎の市民だけなら、避難は60分以内に終わった。ところが、フェスに来ていたよその市の人、県外からの客、海外からの観光客まで数に入れると、誘導に75分かかった。

ゴジラが着くのは60分後。避難には75分。15分、足りなかった。

出典

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