10/14 18:26 更新

顔で画面が変わる。
その顔、どこに残るの?

――ある家族が、台所の新しい画面に

写真はイメージ Photo by Jakub Żerdzicki on Unsplash

10/14 11:49 / 発信国:アメリカ / 記者:工藤

Appleの299ドル画面が家族6人を顔で見分ける その顔データはどこへ?

Appleが10月13日、7インチの家庭用ディスプレー「Apple HomeView」を発表した。値段は299ドル。置き型と壁掛け型があり、どちらも同じ値段だ。壁に掛ける金具は別売り。11月13日にアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、インド、ニュージーランド、シンガポール、南アフリカで売り出す。売りは、前に立った人の顔を見分けて、画面の中身をその人用に入れ替えることだ。

顔を見て、6人分の画面が入れ替わる

見分けられるのは最大6人。登録した人の顔が見えると、メッセージ、FaceTime、カレンダー、リマインダー、「探す」など、その人の中身が画面に出てくる。画面は7インチで1088×1088。中にはA18チップ、12メガピクセルのカメラ、マイクが4つ。温度と湿度のセンサーも入っている。家のカメラの映像は最大9つまで並べて見られる。iCloud+に入っていれば、その映像から人や顔、ペット、荷物、車を見分ける。

来客はどうなるのか。Appleの説明では、登録していない人でも使えることはある。家の機器の操作、天気、タイマー、音楽だ。ただし、だれの個人的な中身も画面には出ない。

欧州連合では売らない。iOSのSiri AIが欧州連合で使えないためだと、Appleは発表文に書いている。欧州連合とは引き続き前向きに話し合っている、とも添えている。

ネットの評判

技術者が多く集まるHacker Newsでは、発表当日のスレッドが伸びた。10月14日に見た時点で678点、コメントは791件。目立つのは「古いiPadで足りる」という声だ。電池で動くし、アプリも入るし、壁に掛ける金具も売っている、という言い分。

いや、そうじゃない、という声もある。顔を見て家族それぞれに中身が切り替わるのは、iPadではできない。専用の機械だからできることだ、という言い分だ。濡れた手で料理をしているときに、声だけでタイマーをかけたり調べ物をしたりできるのが助かる、という書き込みもあった。

カメラの話では、家族を見分けるためにカメラがつきっぱなしになる点を心配する声が並ぶ。家の中に常時オンの機械を置くのが当たり前になっていく、その線が少しずつ動いているのが嫌だ、という書き方だ。訪ねてきた人の同意はどう取るのか、という問いも出た。値段についても割れた。Appleの製品としては安いという人と、最低賃金で働けば1週間分の稼ぎだという人がいる。

顔は鍵ではなく、名札だ

ここが、ややこしい。発表を読み込んだ米メディアのDaring Fireballと9to5Macによると、HomeViewにFace IDは入っていない。顔は本人を確かめる鍵ではなく、「いま前にいるのはこの人だ」という名札として使われる。個人の中身が出るには、もう一つ条件がある。その人のiPhoneかiPadが同じWi-Fiにつながっていて、最近ロックを解除されていること。つまり、本当の鍵はポケットの中にある。しかも、そのiPhoneはApple IntelligenceとSiri AIに対応している必要があり、Apple Watchでは代わりにならない。

玄関のドアと鍵
写真はイメージ Photo by Jakub Żerdzicki on Unsplash

では、顔のデータはどこへ行くのか。AppleはA18チップの中のSecure Exclavesを使い、カメラとマイクが拾ったデータを本体のほかの仕組みから切り離して処理すると説明している。製品ページには、そこには基本ソフト(OS)からもApple自身からも触れないと書いてある。米メディアのMacRumorsは、HomeViewのソフト、アプリ、使う人、Apple自身のどこからも取り出せないと伝えている。

一方で、公開されている資料だけでは分からないことがある。登録した顔をあとで消す手順、カメラを切る方法、登録していない人の顔の扱い。ニュースリリースと製品ページ、仕様ページを読んだが、そこまでは書かれていなかった。

自分の顔を見分けてもらうために預けたデータを、預けた本人も取り出せない。それがAppleの選んだ作りだと、MacRumorsは書いている。

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出典

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