10/13 23:45 更新

高い耳栓なら、ぜんぶ消えると思っていた

10/12 13:39 / 発信国:日本

耳栓に6,990円? 遮音の数字なら1組80円のスポンジが上だった

ライブドアニュースの編集部員が、寝るとき専用の耳栓「Loop Dream」を1週間つけて寝た記事が、10月12日の話題上位に入った。値段は6,990円。記事の末尾には「PR企画:Loop× ライブドアニュース」の表示と割引コードが付く。そこは先に書いておく。

引っかかったのは、公称の数字だ。Loop Dreamの騒音低減は、公式サイトによると27dB(SNR)。いっぽう、アスクルで200組入りの箱で売っている使い捨てのスポンジ耳栓、モルデックスのスパークプラグは、同じSNRで35dB。2箱400組で31,405円だから、1組80円ほどだ。

6,990円のほうが、数字では8dB負けている。

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遮れる音は、道具ごとに形が違う

スポンジ耳栓も、どの音にも同じには効かない。公式スペックは、高い音から順にH35・M32・L31dB。低い音がいちばん苦手だ。

ノイズキャンセリングは逆だ。パナソニックの解説では、電車やエアコンのように同じ調子で鳴り続ける低い音に強く、急に鳴り出す人の声やクラクションは打ち消しにくい。

3万円の寝ホンはどうか。アンカーのSoundcore Sleep A30は税込29,990円。公式ページに、何dB下がるかの数字はない。あるのは、ケースがいびきを聞き取り、その大きさや高さに合わせたマスキング音を流す機能だ。

これを約半年使った商品検証ジャーナリストの浅沼伊織さんは、家電批評で、いびきや飛行機のエンジン音といった低い音は「ほぼ消える」、高い音はノイズキャンセリングだけでは抜けると書く。

遮る、打ち消す、かぶせる。同じ「静けさ」を、3つは別のやり方で売っている。

いびきは、ひとつの音ではない

ここが、ややこしい。いびきなら低い音、と決めつけられないのだ。

耳鼻咽喉科の原浩貴さんたちが2005年に「耳鼻と臨床」で報告した音響解析では、ふつうのいびきは1,000Hzより下に音の山が1つ。いっぽう、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の人のいびきには、1,000Hzより上にも山がいくつか出た。単純いびき6例、無呼吸8例の小さな報告だ。

隣で鳴る音が低いのか高いのかで、効く道具は変わる。

Loopの公式サイトも、音を全部消す道具ではないと書く。眠りの邪魔になる音を減らす設計で、アラームやドアベルは聞こえる可能性があるという。noteの留雄さんは、買った当初「イビキは筒抜け」「全然ダメじゃ~ん!!!」と書いていた。

【昔、100kgをゆうに超える部下と社員旅行で同部屋になった時のこと。あまりのうるささに、「波の音」と思うことにしたが、寄せた波が止まることがある。無呼吸症候群だ】

ネットの評判

Loopの公式サイトのレビュー欄は、確認した時点で87件、平均4.1だった。元イヤホン専門店スタッフのかじかじさんは、遮音だけを求めるなら3万円クラスの大手メーカーのノイズキャンセリングイヤホンのほうが良いこともあると書きつつ、Dreamは充電がいらない点を挙げる。横向きで寝たときの耳の痛みは、Loopのほかのモデルより楽になったという声が、かじかじさんにもROOMIEにもある。

7,000円は、何を買っているのか

数字で負けているのに、6,990円で売れている。なぜか。

横向きで眠る人と枕
写真はイメージ Photo by Greg Pappas on Unsplash

ライブドアニュースが2026年9月にGoogleフォームで集めたアンケート(有効回答247件、PR企画の中の調査)では、耳栓を使ったことがある人が5割を超え、いまも使い続けているのは3割弱だった。

留雄さんの「筒抜け」も、1週間たつと「あれ?なんかフィットしてるかも?」に変わる。完全には遮音できないけれど、「イビキで起こされることはなくなった」。いびきの音から「トゲトゲした部分がなくなり」、柔らかく小さく聞こえるようになったという。

そして編集部員は、枕元のスマホのアラームが「普通に聞こえて、いつも通りに起きられました」と書いている。消えないのは、欠陥ではなく設計だ。2023年に改訂された厚生労働省の「騒音障害防止のためのガイドライン」も、同じ向きだ。重松製作所の解説によると、JIS T 8161-1で測った数字を目安に「必要かつ十分な遮音値」のものを選ぶ、という考え方が入った。遮れば遮るほどいい、ではないのだ。

【高いほうが静かになるのではない。高いほうは、朝まで耳に残っていてくれる】

出典

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