10/14 00:09 更新

私だけの問題ではない。
家族もいるので周りと相談して

――ある女流棋士が、勝った直後の会見で

写真はイメージ Photo by Mahmoud Adel on Unsplash

10/11 11:40 / 発信国:日本

将棋で女性初の棋士資格 西山朋佳白玲が持ち帰った2週間と10年

将棋の西山朋佳白玲(31)が、女性で初めて「棋士」になる資格を得た。10月10日、金沢市のホテル日航金沢で指された第6期ヒューリック杯白玲戦七番勝負の第5局で、福間香奈女流四冠(34)に118手で勝った。シリーズは4勝1敗。白玲の獲得は、これで通算5期になった。

将棋界では、棋士と女流棋士が別の制度で動いている。四段以上の棋士に、女性はまだ一人もいない。

ただ、本人はその場で、棋士になるとは言わなかった。「すぐに答えを出せる状況ではない」。資格を使うかどうかを決める期限は、2週間しかない。

5期目の白玲が、別の制度の扉を開けた

なぜ、女流のタイトルの数で棋士になれるのか。きっかけは、2025年6月の日本将棋連盟の総会だ。白玲を通算5期取った人に、棋士へ移る資格を認める。その規定が、ここで決まった。当てはまる人が出たのは、今回が初めてだ。

畳の和室と低い机
写真はイメージ Photo by Se. Tsuchiya on Unsplash

これまで、棋士になる方法は2通りしかなかった。奨励会で勝ち上がって三段リーグを抜けるか、棋士編入試験に受かるか。西山白玲は、どちらもあと一歩で届かなかった。2019年度後期の三段リーグは14勝4敗で次点。2024年に受けた編入試験は、2勝3敗だった。

資格を使うと決めれば、昇段は2027年4月1日付。段位は四段で、所属はフリークラスになる。ここが、ややこしい。フリークラスの棋士は順位戦に出られない。年間で「参加棋戦数+8」勝以上かつ勝率6割以上といった条件を満たせば、順位戦のC級2組に上がれる。満たせないまま10年がたつと、棋士の資格はなくなる。そのときも女流棋士のままでいられる、と報じられている。

棋士になっても、女流の棋戦から離れるわけではない。両方に出られる。ただ、出たい棋戦だけを選んで、ほかを休むことは認められないという。

ネットの評判

この話を伝えた日本経済新聞の記事には、はてなブックマークが146件付き、意見が割れた。認める側には「実力的には全然問題ないと思うのだけど」「権利を行使する個人に文句をいうのは、だめだよ」という声。認めない側には「西山さんに匹敵する、実力的に問題ない男性奨励会員でプロになれなかった人はたくさんいる」「歴代の3段リーグの涙した人間は納得しないだろ。権利は行使してはいけない」という声が並んだ。ネットメディアのアゴラは、一定人数を採る定員の枠ではないとしたうえで、「性別による優遇措置という性格はあります」と書いた。

決めるのは2週間、使えば10年

では、本人は何を迷っているのか。西山白玲は31歳で、2025年11月に結婚している。勝った直後の会見では、こう話した。「私だけの問題ではない。家族もいるので周りと相談して方針を決めたい」。対局が終わった直後で疲れているから、落ち着いてから考え直したい、とも言った。規定そのものについては「女流棋界を大きく活性化して頂く、大きな動きだった」と話している。翌11日に出た一問一答でも、答えは保留のままだ。

この規定を決めたのは連盟の総会で、西山白玲ではない。それでも「女子枠」という言葉は、制度ではなく本人の名前とセットで流れていく。祝福も批判も、受け止めるのは一人だけだ、という見方もできる。

使えば、2027年4月1日に四段になり、10年のうちに成績を残さなければ棋士ではいられなくなる。使わなければ、白玲通算5期という記録が残る。その二つを、西山白玲は2週間で選ぶ。

二択の設問:女流タイトル5期で、棋士になっていい?女流タイトル5期で、棋士になっていい?この話、あなたはどっち? →
出典

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