10/14 18:26 更新

部品がひとつ、
見当たらない

――九州新幹線全線が止まった夜

写真はイメージ Photo by John Cameron on Unsplash

10/13 20:08 / 発信国:日本

消えた部品ひとつで九州新幹線が全線止まった

10月13日の朝、九州新幹線は1本も走らなかった。博多から鹿児島中央まで、全線である。原因は、金属の板が1枚なくなったことだ。

話は前の夜に戻る。12日の午後10時5分ごろ、熊本市南区の熊本総合車両所。入ってきた車両のパンタグラフから、部品が1つ消えていた。「すり板」と呼ばれる板だ。架線に直接触れて電気を受け取り、架線を守る役目がある。これがないと、架線を傷めてしまう。

この夜も、九州新幹線は止まっていた。FNNプライムオンラインによると、12日の分で14本が運休や遅れとなり、約1200人に影響が出た。

どこで落としたかが、分からない

ここが、ややこしい。板が1枚足りない、という話だけでは終わらなかった。

どこで外れたのかが、JR九州にも分からない。部品を捜しながら、架線に傷がないかを調べることになった。板のない裸のパンタグラフが、そのまま架線をこすり続けた可能性がある。

関西大学社会安全学部で交通システム安全論を教える吉田裕教授は、KKT熊本県民テレビにこう説明している。すり板をどこで落とし、そのあとどれだけ走ったかで、長い区間の架線を傷めるおそれがある。外れた部品が高速で巻き上げられ、事故につながるおそれもあるという。

傷を1カ所見つけて直せば終わり、とはいかない。点検では、熊本と新八代のあいだで、架線の傷が少なくとも2カ所見つかった。2本の架線のあいだで架線をつり上げている「ハンガー」という部品が外れる不具合もあった。その後、傷は複数の場所で確認された。

では、乗る人はどうなったのか。はじめの発表では、博多―熊本は正午ごろ、熊本―鹿児島中央は午後2時ごろに動かすつもりだった。それが、約4時間後ろにずれた。博多―熊本の予定はさらに午後5時ごろへ動いたが、実際に走り出したのは午後4時16分発の「つばめ391号」からだった。熊本から鹿児島中央までは、その日ずっと動かなかった。13日午後4時半の時点で、下り11本と上り9本、合わせて20本が運休した。JR九州は会見で「しばらく時間をいただく」と話した。

鹿児島中央駅では、JRの窓口に、出口からはみ出すほどの列ができた。日本航空は鹿児島と福岡のあいだに、臨時便を2往復・4便出した。1便の席は、最大で48。4便を全部合わせても、200席に届かない。午後の便はほぼ満席だった。JR九州は、福岡と熊本のあいだで在来線の特急を1往復だけ増やした。

ネットの評判

Xには「連休明けに困る」という声が並んだ。投稿を集めたページ(まとめダネ)には、肥薩おれんじ鉄道など、別のルートを教え合う投稿や、これから乗る人に気をつけてと呼びかける投稿も載っている。復旧の見込みを互いに確かめ合う書き込みもある。

傷が集まっていた場所

RKK熊本放送によると、見つかった架線の傷は、ほとんどが熊本と新八代のあいだにあった。この区間は、今年7月の熊本地震で被害を受けたところだ。JR九州の運行情報によると、九州新幹線が地震の影響から立ち直って全線で走り始めたのは、9月18日。今回の架線の異常と地震に関係があるのかどうかは、13日の時点で分かっていない。

線路の上に張られた架線
写真はイメージ Photo by Çağlar Oskay on Unsplash

地震から戻って3週間あまりの九州新幹線が、金属の板1枚でまた止まった。14日に動くかどうかは、13日の夜になっても分かっていない。

出典

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