10/9 17:49 更新

これ、自分の点じゃない
気がします

――ある選手が、記録をつける人に

写真はイメージ Photo by Wesley Tingey on Unsplash

10/7 16:58 / 発信国:韓国

韓国代表の最多得点、47年9か月ぶりの更新までの8日間

草野球で、勝ち越しの1本が記録のうえでは自分の安打になったとする。でも、バットに当たった感覚がない。記録係は映像を見て「当たっていました」と言う。その1本で、自分はチームの最多安打記録に並んでしまった。

たとえ話はここまで。本題は韓国ナショナルチーム。

似たことが、サッカーの韓国代表で起きた。孫興慜(ソン・フンミン、34)が10月6日、龍仁ミルスタジアムで行われたウズベキスタンとの親善試合で直接フリーキックを決め、Aマッチ通算59得点とした。車範根(チャ・ブングン)前代表監督の58得点を抜き、韓国男子の最多記録になった。車範根が58点目を決めたのは1978年12月17日のアジア大会。47年9か月ぶりの更新だ。

ただ、話は8日前から始まっている。58点目を決めたとき、本人がこう言っていたのだ。「自分のゴールではない気がする。触れた感覚がなかった」(訳)

「触れた感覚がなかった」58点目

なぜ、自分のゴールではないと言ったのか。9月28日、ソウルワールドカップ競技場でのウルグアイ戦。韓国は1-4で負けた。後半35分、李康仁(イ・ガンイン)がペナルティーエリアの右外からゴール前へボールを上げる。そこへ孫興慜が飛び込み、ボールはゴールに入った。足に当たったかどうか、はっきりしない1点だった。

記録は孫興慜の得点。これで通算58点となり、車範根に並んだ。それでも本人は引き受けなかった。「もしこのゴールが自分のものとして記録されるなら、少しすっきりしない気がする」(訳)とも話している。

では、誰が決めるのか。大韓サッカー協会は、審判団と大会運営本部、中継映像を最終確認した結果、孫興慜の得点と認めた、と説明した。FIFAも公式記録に孫興慜の得点として載せた。本人が渋っても、記録のほうは動かなかった。

8日後、文句のつけようがない1点

そして10月6日。前半6分、ペナルティーエリアのすぐ外で相手のハンドの反則があった。孫興慜は李康仁と並んでボールの前に立ち、右足で蹴る。低い弾道のボールは壁の脇を通り、ゴールの右隅へ。今度は、誰の得点かを確かめる必要がなかった。

スタジアムのゴールネットのイメージ
写真はイメージ Photo by Brianna Lengacher on Unsplash

試合は後半に呉世勲(オ・セフン)が加点して2-0。この試合の前の3試合は1勝1分け1敗で、立て直しが要るところだった。暫定監督のロベルト・モレノ氏のチームは、4試合目でようやく白星をつかんだ。韓国メディアのSPOTV NEWSは、主将が危機の韓国サッカーを救った、と伝えている。

孫興慜は試合後、こう話した。「自分のゴールだけが最も重要というわけではない。これまで代表で仲間とともに歩んできた16年間という時間が一番大切だ」(訳)。抜いた相手については「私にはいつも偉大な方」、記録については「記録は破られるためにある。自分より優れた後輩が早く破ってくれたらいい」という趣旨を話した。

ネットの評判

韓国のサッカー掲示板エフエムコリアでは、記録更新の場面を貼った投稿に「アジアのGOAT(史上最高)」と称える書き込みが並ぶ。スライディングのセレモニーがかっこいい、という声もある。一方で「親善試合、ウズベキスタン相手のゴールで騒ぎすぎだ」と冷ます書き込みも混じる。代表での物足りなさを言う声は前からある。韓国メディアのオーマイスターも、クラブでの活躍に比べて代表でのインパクトが劣るという評価が過去にあった、と書いている。

孫興慜が抜いたのは、あくまで韓国男子の記録だ。韓国人全体の最多得点は、まだ先にある。女子代表の池笑然(チ・ソヨン)が、182試合で76得点。孫興慜の59点より、17点多い。

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