10/13 22:50 更新

それ、数日で
同じものが作れたよ

――ある技術者が、話題のAIに

写真はイメージ Photo by personalgraphic.com on Unsplash

10/12 14:39 / 発信国:アメリカ

公開24日で評価額75億ドル TypeSafe AIの顧客数、投資元の話と合わない

米国のスタートアップ、TypeSafe AIが10月9日、8億7000万ドルを集めたと発表した。評価額は75億ドル。主力のAIモデル「Jev」を世に出したのは9月15日だ。24日しか経っていない。

Jevは、ChatGPTのように文章を返すモデルではない。入力を受けて、決められた型の値と確率を返す。会社はこれを「判断を返すモデル」と説明する。公開のとき広まったのは、古いシューティングゲーム『DOOM』をJevに操作させたデモだった。画面の絵は見せない。周りの状況を文字にして渡すと、Jevは進む方向と危険度の点数を返す。1秒に10回ほど呼び出すと、かかるお金は1時間でおよそ7ドル。共同創業者のディオゴ・アルメイダ氏がXに出した告知は、フォロワー1500人の状態から4000万回見られた。

Fortune 500の数が、会社と投資元で合わない

で、何がそんなに高く買われたのか。会社の説明は、速さと安さだ。文章を作らないぶん、使うトークンが少なく、動きも速いという。アルメイダ氏は元OpenAIの研究者だ。人の言葉はこの4年でうまく扱えるようになったが、コンピューターは別の言葉を話すので自動化には役立たない、という言い方をしている。

もう一つの説明は、客の数だ。会社は自社のブログに、Fortune 500(米誌フォーチュンが選ぶ売上上位500社)の3分の1がもうJevを使っていると書いた。約167社になる。

ところが、出資を主導したベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツは、同じ日に25%と言った。約125社だ。40社以上違う。AIの業界ニュースを扱うimplicator.aiは、どちらもこの差を説明していないと書いている。

会社は、すでに本番で使う顧客に数百万ドルを節約させたとも書いた。ただ、どこの会社なのか、どう計算したのかは出していない。モデルの中身(学習でできた数値や、作り方の手順)も公開していない。つまり、外から確かめようがない。

3週間で、同じものが無料で出てきた

ここが値段の話に効いてくる。Jevの公開から3週間のあいだに、大手が次々と同じ種類のものを出したのだ。AWSは10月1日、「Strands Decider 2B」をオープンソース(Apache 2.0)で出した。OpenAIは10月6日に「Decisions API」を出し、値段は入力100万トークンあたり0.10ドル。CloudflareもWorkers AIで「Clef」を出している。

データセンターに並ぶサーバー
写真はイメージ Photo by Taylor Vick on Unsplash

速さでも追いつかれ始めた。スタンフォード大学とNvidiaの研究者は、自分たちの「CLM-8B」が一部の仕事でJevより最大9倍速いと報告した。ただし、外部の道具を呼び出す正確さではJevに劣ったという。

ネットの評判

技術者が集まる掲示板Hacker Newsでは、10月9日の調達を伝える投稿に443点が付き、コメントは354件になった(10月12日時点)。目立つのは、まねできない技術がないという声だ。あるユーザーは、堀がなく、すでにあったもので、数日で複製された製品だと書いた。やっていることは2025年の論文に書かれていた、という指摘も出ている。評価額そのものへの反発も強い。Jevが20億ドルの会社になったら投資家には失敗だ、という書き込みや、AIのPets.com時代だという言い方が並んだ。

擁護する声もある。速さ、安さ、確率の精度、悪い指示を混ぜ込む攻撃への強さを、まとめて満たしたものは他にない、という言い分だ。手元のデータで比べたというユーザーは、3回に2回はJevが勝ったとしつつ、各自で自分のデータで試すべきだと書いた。別のユーザーは、自分の用途では他社のモデルのほうが正確だったと書いている。

75億ドルという値札の根拠は、いまのところ会社の説明しかない。使っている会社の数は、売った側と出資した側で40社以上ずれたままだ。そして同じように判断を返すモデルは、AWSが10月1日から無料で配っている。

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出典

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