10/9 17:49 更新

見つけても、
抜かないでください

――ある県と市が、住民に

写真はイメージ Photo by liam abbey on Unsplash

10/8 15:49 / 発信国:日本

大分の城跡の堀を覆った水草 茎が数センチ残れば再生する

大分県豊後高田市にある旧高田城の外堀が、水草でびっしり覆われた。覆われていたのは、およそ150メートル。南米から来たナガエツルノゲイトウという特定外来生物だと、大分県が10月1日に発表した。「地球上最悪の侵略的植物」と呼ばれている水草だ。

県と市が住民に頼んだことは、少し意外だった。見つけても、抜かないでほしい。刈らないでほしい。

見つけたのは、豊後高田市議の大石忠昭さん(84)。テレビでこの水草のことを知り、9月19日に外堀の水面が覆われているのに気づいた。9月24日に知らせている。3年ほど前から見かけるようになり、少しずつ範囲が広がっていたという。市によると、現地を確かめたうえで、9月30日に専門家が種類を特定した。

抜くと、かえって広がる

では、なぜ抜いてはいけないのか。この水草は、ちぎれた茎や根がわずかに残っているだけで、そこから新しい株になる。だから、刈ったり運んだりすれば、かけらが散って、生える場所が増える。人の体に害はない。危ないのは、人が手を出して散らしてしまうことだ。

日本の城跡の堀と石垣
写真はイメージ Photo by Michael Geyer on Unsplash

大分県内でこの水草が確認されたのは、2022年7月の大分市の江川に続いて2か所目。江川では、およそ1キロにわたって水面が覆われていた。県は2025年に取り除く作業をした。

結果はどうなったか。江川で最初に見つけた地元の団体、大分生物談話会の大倉鉄也さんは「上流から下流まで幅広く除去作業はされているが、繁殖力が高いのですぐに元に戻ってしまった。茎が数センチ残れば、そこから再生してしまう強い繁殖力を持っている」と話す。県は、繁殖が見つかった2か所について、確実に駆除できる方法を探しているところだという。終わらせる手は、まだ決まっていない。

困るのは、水路や水田だけではない

全国では、この水草が大きな群落になって水路を詰まらせたり、水田に入り込んで収穫の邪魔になったりしている。国内で定着が報告されたのは1989年の兵庫県尼崎市。いまは30以上の都府県で見つかっている。

城跡の堀は、水路でも水田でもない。暮らしがすぐ困る話ではない、と見えるかもしれない。ただ、兵庫県の説明によれば、水面がすっかりふさがれると水は汚れ、もとからその水辺にいた生き物は居場所を失う。先に消えるのは、そちらだ。

30頭が、1万頭になった

外から来た生き物に在来の生き物が追われた例として、よく挙がるのが奄美大島のフイリマングースだ。1979年ごろ、沖縄島から30頭ほどが放された。2000年には推定1万頭まで増え、アマミノクロウサギやケナガネズミなど、その島にしかいない生き物を食べた。

草地にいるマングース
写真はイメージ Photo by 2H Media on Unsplash

その後どうなったか。地元の市町村が1993年から、環境省が2000年から捕獲を続けた。最後の1頭が捕まったのは2018年4月。環境省が根絶を宣言したのは、2024年9月3日である。

似た植物を見つけたら、抜かずに写真を撮り、場所と日時を添えて連絡してほしい——大分県自然保護推進室と豊後高田市が住民に求めているのは、それだけだ。

奄美大島のマングースは、30頭ほどが放されてから根絶の宣言まで45年かかった。豊後高田の堀で覆われているのは、いまのところ150メートルである。

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