10/9 17:49 更新

AIが作ったものだと
決めつけられた

――本物のアライグマの映像が

10/9 11:08 / 発信国:アメリカ

AI動画だと疑われたアライグマ、シアトルの柵を元気に歩いていた

2026年10月7日、米シアトルの地元テレビKIRO 7が、妙な形をしたアライグマの新しい映像を伝えた。胴が短く、首がないように見える。とにかく丸い。映像では、柵を伝って隣家のほうへ進み、最後は屋根に上がった。名前はJimothy(ジモシー)。7月に世界へ広まったとき、AIが作った動画だろうと疑われた、あのアライグマだ。

丸すぎて、偽物だと思われた

発端は7月13日。シアトル市北部のバラード地区で、キアナ・ホールさん(33)が、夫との夕方の散歩中にJimothyを見つけた。翌14日、インスタグラムに投稿した。添えた言葉は「短脊椎症候群のアライグマJimothyに出会えた。Jimothyを称えよ」(訳)。いいねは6日で39万8000件を超えた。

ここが、ややこしい。体の形があまりに不自然なので、見た人の多くがAIの作り物だと思った。そこへ、本物の映像をもとにしたAI製の偽動画が次々と出回った。グーグルのVeoやGrokで作ったもので、ドラゴンに乗せたものまであった。米国のIT情報サイト、トムズガイドの記者は、自分も「だまされた」と書いている(訳)。

ご近所が、何度も見ている

では、本物だと、どうして言えるのか。トムズガイドは7月、Jimothyは100%本物だと書いた。その材料は、画面の中ではなく、近所にあった。

シアトルの住宅街の家並み
写真はイメージ Photo by Brett Wharton on Unsplash

撮った人の名前も、撮った場所も分かっている。近所の人たちは、このアライグマが何か月も、あるいは何年も前からこの地域に住んでいると話した。裏庭のデッキをうろついていた、犬用の水入れから飲んでいた、木の上に座っていた、という目撃も出てきた。獣医が最初の映像を見て、生まれつきの短脊椎症候群だろうと言った。

プロでも間違える。ニュースサイトのDefectorの記者たちは、赤ちゃんのころのJimothyを撮った映像をAI製だと決めつけ、いったん脇に置いていた。確かめると、有名になる1年以上前に実際に撮られた映像だった。

大丈夫なのか。ミシガン州の獣医ケント・モートンによると、背骨の軟らかい組織が椎骨をつないでしまう。首がないように見えるのは、そのためだ。関節は早くから傷み、痛みや神経の圧迫も起こる。それでもモートンは「本来ならやっていけないはずの体なのに、とてもよく動いている」と話した(訳)。コーネル大学のブライアン・コリンズは、一番の脅威は犬か車だろうと心配する。

ペンシルベニア州立大のジュリアン・エイブリーは、人が餌をやり始めると、野生動物は危ない場所に居着き、車にひかれたり、役所に連れ去られたりしやすくなると話した。州の担当部署も、離れて見るように、餌をやらないように呼びかけている。

ネットの評判

7月16日から22日までに、掲示板サイトRedditのシアトル板では、関連の投稿が2900万回表示された。「アコーディオンみたいに押し縮められたようだ」(訳)と笑う声が目立ち、その一方でAIを疑う声も続いた。グーグルは、名前を検索するとアライグマが画面を走る仕掛けを入れた。この仕掛けは、7月23日までに500万回以上動いたという。

短脊椎症候群は、犬でも世界で記録された例が30件に届かないという。野生のアライグマの寿命は、普通2〜3年らしい。7月にAIの作り物だと疑われたあの丸い体は、10月の映像では、柵の上を自分の足で歩いていた。

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出典

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