10/13 22:55 更新

安くしたのに、
儲けが増えた

――ワークマン、作業服の上下が3,400円

写真はイメージ Photo by Deyan Sight on Unsplash

10/13 13:52 / 発信国:日本

作業服を1,000円値下げしたワークマン、儲けはなぜ5割増えたのか

作業服の上下セットが、4,400円から3,400円になった。ワークマンが8月に発表した価格だ。1,000円安い。それでいて会社は、利益が5割増えたと言っている。

安くしたのに、儲けが増える。どういうことなのか。

ワークマンは2024年4月から、ワーク強靭化計画という名前で本業のテコ入れをしている。きっかけは、店の客の声だった。機能性のカジュアル服を増やしたところ、一般の客が来るようになった。その一方で、昔からの客が「作業服姿では入店しづらい」と言い出した。会社はこの商品群で、今後1年のうちに売上高710億円を目指す。うち作業服が260億円だ。

中国で生地を買い、東南アジアで縫う

これまでワークマンは、中国やミャンマーの工場に「この作業服を作って」とまるごと頼んでいた。そこには、間に入る業者がいた。

工場に積まれた生地のロール
写真はイメージ Photo by Kaja Reichardt on Unsplash

変えたのは、材料の買い方だ。ワークマンが自分で、生地とファスナーなどの副資材を主に中国で買う。それを東南アジアの縫製工場に無償で渡し、縫う手間賃だけを払う。これを加工貿易と呼ぶ。

業者を通さなくなった分、原価は約3割下がったとITmediaは伝えている。工場には、生産ラインを長く動かし続けることを約束した。材料が届かずラインが止まった日も、手間賃は払い続ける。1つの製品で50万着以上を作ると、値段を下げる効果がはっきり出るという。

生地を薄くして安くしたのではないか、とも思う。会社の発表文は、安くなった理由を材料の買い方と作り方の組み替えだと説明している。生地そのものを変えたとは書いていない。同じ生地だとも書いていない。そこは確かめられなかった。

では、元はいくら儲かっていたのか

ここで算数をしてみる。

机に置かれた電卓と伝票
写真はイメージ Photo by Jakub Żerdzicki on Unsplash

1セットあたりの粗利益は、売値から原価を引いた額だ。売値は1,000円減った。原価は3割減った。儲けが増えるには、原価の3割が1,000円を上回っていないといけない。

1,000円 ÷ 0.3 = 約3,333円。元の原価がこれを超えていたなら、計算は合う。

「5割増」まで届かせるには、元の原価が4,000円あたりだったと置けばいい。すると新しい原価は2,800円。3,400円で売れば、儲けは600円。元は4,400円で売って400円だったから、ちょうど1.5倍になる。

ただし、4,000円は会社の数字ではない。原価は公表されていない。発表された数字から筆者が逆算した値だ。それでも向きは変わらない。1,000円下げて儲けが5割増えるのは、元の儲けがよほど薄かったときだけだ。

留保がもう1つある。会社の発表文には、「5割」が1セットあたりなのか、作業服全体なのかが書かれていない。全体の話なら、安くなって売れた数が増えた分も入る。

ネットの評判

ITmediaの記事はYahoo!ニュースにも転載された。コメント欄には、10月13日の時点で316件が付いている。共感を多く集めていたのは、原価を下げたこと自体より、それを一般向けの服ではなく作業服でやった点を評価する声だ。一方で、仕事で着ている人からは不満や要望も出ている。愛用していた仕事用のTシャツが売られなくなった、すぐ在庫切れになる、店に作業着も置いてほしい、という書き込みだ。新しいTシャツは生地が薄くて手を出しづらい、という声もあった。

土屋哲雄専務は10月7日の戦略発表会で、「他の作業服店やホームセンターにはない、絶対にワークマンでしか売っていない商品で売上高710億円を作っていきたい」と話した。1,000円の値下げを支えていたのは、上下1セットで400円という薄い儲けだったことになる。筆者の逆算が合っていれば、の話だが。

この話、あなたはどっち? →

出典

よく読まれている記事

こちらの記事も

← 一覧へ戻る