10/13 22:50 更新

飲食店の本当の倒産理由
あなたは知っていますか

――賃上げしても効果なし

写真はイメージ Photo by Evan Marvell on Unsplash

10/13 21:00 / 発信国:日本

人手不足倒産が過去最多 飲食の時給を上げても人が来ないのは、ほかの仕事のほうが高いからだ

東京商工リサーチの集計で、2026年度の上半期(4月から9月)の人手不足倒産が240件になった。前の年の同じ時期より17.0%増えて、過去最多だ。いちばん多い理由は、人件費が上がりすぎたこと。130件あり、240件の半分を超えた。前の年の同じ時期の1.7倍だ。

客が減って潰れたのではない。客はいるのに、働く人がいなくて続けられない。

TBS NEWS DIGが10月11日に伝えた番組に、埼玉県川口市の飲食店「ベジタ×バル0363」の橋本治店主が出てくる。アルバイトが集まらないことについて、こう言った。「集まらないというか、募集しても来ない」。手が回らないときは、客を断る。「しようがない。お断りするパターンもある」。足りない分は、店主が自分で埋める。「私が頑張るだけですね。残業とか関係ないので」。客が来ているのに、売り上げを取りこぼす。

隣の東京とは、時給の下限が84円違う

川口市は、荒川を挟んで東京と隣り合う。その東京の最低賃金は、10月1日から1,280円になった。54円の引き上げだ。埼玉は同じ日から1,196円。差は84円ある。

橋本店主は、こうも話している。「東京都との格差が80円~90円あったとしても、それに準じてできなくはない。ただ、それが全員になった場合、払うベースが底上げされているから、売り上げとか客の数が伴わなければ本当に厳しい」。一部の人を東京に近づけることはできる。でも全員の分になると、売り上げが追いつかない。

では、働く側から、この84円はどう見えるのか。

通勤に使う駅のホーム
写真はイメージ Photo by Ethan Hansen on Unsplash

飲食の相場は、時給1,215円

マイナビが2026年8月の求人を集めた。飲食・フードのアルバイト募集は、全国の募集時平均時給が1,215円。1年前の同じ月より43円高い。ただ、アルバイト全体の平均は1,303円だ。飲食は、そこから88円低いままだ。時給は上がった。それでも、安いほうにいることは変わっていない。

ここが、ややこしい。店が最低賃金に10円、20円を足しても、働く側の目には相場以下に映る。募集しても来ない理由は、そこにあるのではないか。

時給の外にも理由はある。Yahoo!ニュースのコメント欄には「夜中までの仕事なのに時給は最低賃金」という書き込みがあった。交通費が1日200円ほどしか出ない、という声もある。時給を10円、20円足すより先に、そこを見られているのかもしれない。

ネットの評判

Yahoo!ニュースのこの記事には、270件を超えるコメントが付いた。共感が多いのは、この店ではなく業界全体に向いた声だ。「価格転嫁して賃上げすることが経営者の責任」と、店の側に求める書き込み。人を安く使ってきたツケが出た、という見方。「日本は人口規模の割には飲食店数が多すぎる」と、店の数を指す声もある。時給の差を理由に、学生が隣の地域へ働きに行くという書き込みもあった。

政府は「後回しにしない」と言った

では、政府は何をするのか。高市総理は、外食への支援について「外食支援を後回しにすることなく、予算編成過程において支援内容を具体化していく」と話した。中身はまだ決まっていない。食料品の消費税が下がっても、店で食べる外食は10%のままになる。外食から客が離れる心配も指摘されている。

東京の最低賃金は1,280円。全国の飲食店が出しているアルバイト募集の平均は、時給1,215円。東京で法律の下限どおりに働くほうが、飲食の相場より65円高い。

出典

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