10/13 14:12 更新

解約はお電話のみの
受付となります

――ある会社のサポート窓口が、客に

写真はイメージ Photo by rupixen on Unsplash

10/13 10:26 / 発信国:米国

ニューヨークで「1クリック解約」が義務になった 日本はいつから

ニューヨーク市で10月1日、「Click to Cancel」という決まりが始まった。申し込みに使ったのと同じ手段で、簡単に解約できるようにしない事業者は、違反になる。ゾーラン・マムダニ市長は、市の公式ページにこう書いている。「if you can sign up with a click, you must be able to cancel with one」(1クリックで申し込めるなら、1クリックで解約できなければならない)。

運用するのは、市の消費者・労働者保護局(DCWP)だ。事業者の義務は4つある。契約の条件を分かりやすく説明する。買うときと解約するときに、消費者の権利を示す。申し込みと同じ手段で、簡単に解約できるようにする。無料のお試し品の返送料を、客に払わせない。違反すると、罰金は525ドルからだ。消費者への返金を命じられることもある。

申し込みはウェブで数クリック、解約は電話だけ。日本でも見かける形だ。

国の規則は、裁判所に消された

なぜ国ではなく、市なのか。アメリカには、連邦取引委員会が作った同じ名前の規則があり、2025年7月14日に始まる予定だった。ところがその6日前、第8巡回区の連邦控訴裁判所が規則を丸ごと無効にした。理由は中身ではなく、手続きだ。FTCが、求められていた事前の分析を省いていた。

この規則は、いまも効力がない。FTCは2026年3月、規則を作り直す手続きを始めた。その間も、ROSCAなどで取り締まりは続いている。先に決まりを動かしたのは、国ではなく市だった。

ネットの評判

英語の掲示板Hacker Newsでは、10月11日の投稿に250件を超えるコメントがついた。

上位に並んだのは、冷めた声だ。多くがAdobeの名前を挙げた。解約ボタンはある。ただ、1年契約の途中でやめると、残りの期間分に相当する解約料を取られるという。クリックは1回で済んでも、財布から出る額は変わらない。

法律家だというユーザーは、条文に具体例がなく、小さな会社には自社が守れているかどうか分からないと書いた。525ドルは大企業には痛くもない、市は取り締まりに腰が重い、という声も並んだ。

歓迎する声もある。カリフォルニア州の似た法律で、WSJやNYTのような新聞をやめるのが簡単になったと書いた人もいた。

で、日本はいつ?

消費者庁の「デジタル取引・特定商取引法等検討会」は2026年8月24日、ダークパターンに決まりを作る方向の中間取りまとめ案を出した。解約の場面で挙がったのは2つ。手続きを不当に遅らせる行為と、弁護士の解説が引く「契約手続に比して合理的理由なく過度に複雑な解約手続を課す行為」だ。

東京の官庁街の建物
写真はイメージ Photo by Fumiaki Hayashi on Unsplash

後ろのほうが、ニューヨーク市と同じ中身だ。守らせ方としては、特定商取引法に基づく行政指導や行政処分が想定されている。

では、いつから。弁護士によると、案には「法案」「国会」という言葉が一度も出てこない。

もう一方の、消費者契約法を見直す検討会は、8月31日に解約の妨害を禁じる案を出した。うそをつく、申し入れを拒む、不当に遅らせる、といった行為だ。こちらは早ければ2027年の通常国会に法案を出すという。

ニューヨーク市と同じ中身は、時期の書かれていない特定商取引法のほうにある。「解約はお電話のみ」が日本で違反になる日は、まだ決まっていない。

出典

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