10/13 15:11 更新

ヒゲが、似合いすぎている

松本潤、43歳

写真はイメージ Photo by Todd Diemer on Unsplash

10/12 19:33 / 発信国:日本

松本潤のトレンチに、作った雨の上から本物の豪雨が降ってきた

結論から書く。かっこいい。

レナウンは10月12日、松本潤をアクアスキュータムの「トレンチコートアンバサダー」に起用したと発表した。同じ日に、コンセプトムービーが公式サイトで公開された。雨の降る街。ヒゲの松本潤。そこへ、1頭の白馬が現れる。テーマは「受け継いできたもの。その先にある、新たな美意識。」である。

https://aquascutum.jp/campaign/2026/junmatsumoto.html

公式のキャンペーンページには、英文のコピーが置かれている。「Inside each of us lives an impulse, still waiting to be named.」。まだ名前のついていない衝動が、だれの中にもいる、という意味だ。クリエイティブディレクションと監督は山田智和、撮影は大野敏郎。ブランドの名前は、ラテン語のaqua(水)とscutum(盾)を合わせた造語だという(モデルプレス)。

この記事がやることは、1つだけだ。この映像の松本潤と、着ているコートが、どれだけかっこいいか。その理由を、年号と生地の名前と仕様で、ぜんぶ出す。

1930年から、このかたちだ

着ているのは「KINGSWAY(キングスウェイ)」。1930年に発表された、アクアスキュータムのアイコントレンチコートだ(レナウンのリリース)。

トレンチコートのベルトとボタンの部分
写真はイメージ Photo by Isabela Kronemberger on Unsplash

ダブルブレスト。肩に切り替えのないラグランスリーブ。両肩にエポーレット、ウエストにベルト。LEONは、このスタイルが1930年の誕生から「変わることのない普遍のデザイン」だと書いている。襟元を留めるチンフラップ、ベルトのDリング、右胸のガンパッチ。

飾りではない。SEVENTIE TWOは、こうした細かい部分を「装飾として加えられたものではなく、必要性から生まれた形が、時代を超えてデザインの一部となっている」と説明する。1930年から、骨格は動いていない、ということだ。

表地は自社のギャバジン「AQUA5(アクアファイブ)」。えらび抜いたGIZA綿100%を、高い密度で織った生地だ。軽く、光沢があるという。英国製。価格は29万7,000円(税込)。1930年からかたちを変えていない英国製のコートに、いま付いている値段である。

「水の盾」に、本物の豪雨が降ってきた

創業は1851年のロンドン。公式のブランド史によると、仕立て職人のジョン・エマリーがロンドン西部に開いた紳士服店が始まりだ。その2年後には「防水加工を施したウール生地を初めて作り出し、特許製品としました」とある。1853年の話である。トレンチコートは「1914年、第一次および第二次世界大戦で戦った英国軍のために開発され」た(同じブランド史)。トレンチコートの源流のひとつである。1954年の映画『ケイン号の叛乱』では、ハンフリー・ボガートがキングスウェイを着た(LEON)。1920年には皇太子からロイヤルウォラントを受けている(レナウンのリリース。ブランド公式のブランド史は1897年と書いていて、年は出典によって違う)。

夜の街に降る激しい雨
写真はイメージ Photo by Sohan Shingade on Unsplash

雨の多いロンドンで、雨に負けない服を作ってきて175年。そういう服である。

そして、この映像でいちばんかっこいいのは、仕様でも年号でもなかった。ある一夜だ。

撮影は夜から明け方まで続いた。雨の場面は、演出で雨を降らせて撮っていた。そこへ、本物のゲリラ豪雨が来た。モデルプレスは「撮影中には思いがけずゲリラ豪雨に見舞われ、本物の雨によって生まれたシーンが、英国の日常的な風景を思い起こさせる印象的な映像となった」と書いている。WWDJAPANは、その偶然によって、水をはじく力(撥水)の実力が印象的に示されたとしている。撥水を試すために降らせた雨ではない。偶然、重なった。

雨のロンドンで1851年に始まったブランドの服が、175年のあとの撮影現場で、本物の豪雨をそのまま受けた。それで映像が壊れるどころか、いちばんいい場面になった。ブランドの名前の意味は、水の盾である。

松本潤は細かな演技にこだわり、監督と話し合いを重ねたという(WWDJAPAN)。夜から明け方までというのは、そういう時間だ。

着ているのは、173cmの43歳

松本潤は1983年8月30日生まれの43歳。身長は173cm(公式サイトのプロフィール)。1999年に嵐を結成し、2026年6月1日、嵐の活動終了にともなってソロのタレントになった。その松本潤が、175周年の英国ブランドのアンバサダーに就く。しかも、ヒゲだ。

レナウンは起用の理由をこう書いている。「確かな存在感を示しながら確固たるキャリアを積み重ね、常に新たな表現へと挑戦し続ける松本さんの姿勢が、175周年を迎えるアクアスキュータムの現在と重なり、起用の決め手となりました」

SEVENTIE TWOは、映像の松本をこう評する。「声高に何かを主張するのではなく、佇まいや視線、身体の動きによって、静かに印象を残していく」。同じ記事は、キングスウェイそのものについて「着る人の年齢やスタイルを限定せず、羽織るだけで着こなし全体に輪郭を与える力を持ち」とも書いている。

ここが効く。年齢もスタイルも限定しない、という話だ。2020年6月、京都でこのKINGSWAYを買った人がいる。ブログ「_Leave_Home_」の書き手だ。「私の身長は173cm。コートのサイズは36です。」と書き、着た感想をこう続けている。「定価20万円のコートだけあって着るのに緊張します(笑)」

緊張する服である。背筋が伸びる服だ、ということでもある。

ネットの評判

ENCOUNTは10月12日15時36分の配信で、ヒゲ姿の新しいビジュアルに「イケオジ爆誕」「ヒゲ潤良い!」「ビックリ」「大人の魅力が」「強烈な美」「大人になった道明寺司」といった声が上がったと伝えている(いずれもENCOUNTの記事に並んでいた言葉で、投稿者や投稿日時は、その記事には書かれていない)。オリコンも同じ10月12日に、175周年の英国ブランドのアンバサダー就任として報じている。

ムービーは、全国の屋外メディアとアクアスキュータムショップでも順次流れる。各地の百貨店では、トレンチコートのポップアップも予定されている(WWDJAPAN)。掲出の場所と期間、ポップアップの店舗名と日程は、まだ公式に出ていない。

まだ名前のついていない衝動が、だれの中にもいる。公式のコピーのとおりだ。雨の街の白馬と、本物の豪雨を受けた水の盾を見たあとなら、その衝動には、もう名前が付く。着たい、である。

出典

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