10/14 00:09 更新

会社がまず、
生き残らないと

――あるスマホ会社の幹部が、値上げを前に

写真はイメージ Photo by Umberto on Unsplash

10/7 17:23 / 発信国:中国

スマホ1台に200ドル上乗せ AIのメモリ争奪が値札に届いた

町の工場が、近所のスーパーで卵を箱ごと買っていくようになったとする。棚に残る卵は減り、値札は少しずつ上がる。買い占めているのは工場なのに、高くなった卵を持ってレジに並ぶのは、晩ごはんを作る人だ。

買い占めているのは、AIのデータセンター

これはたとえ話だ。実際に起きているのは、卵ではなくメモリの値上がりだ。ファーウェイ(華為)の常務董事・余承東(ユー・チェンドン)が、メモリ部品の値上がりで、スマートフォン1台あたりのコストが200ドル(約1343元)以上増えたと話した。9月29日の国際メディア向け円卓会議での発言を、中国のIT媒体IT之家などが10月6日に伝えた。

データセンターに並ぶサーバー
写真はイメージ Photo by İsmail Enes Ayhan on Unsplash

余承東によると、ファーウェイの端末は他社より積むメモリの容量が大きい。だから値上がりのぶんも大きい。いまは値上げを抑えて自社でコストをかぶっているが、全体の利益率は急激に下がっているという。そのうえで、こう話した。「展望未来,我们也不得不提高价格」(原文ママ/訳:将来を見れば、値上げをせざるを得ない)。「公司必须先能够生存下来」(訳:会社はまず生き残れなければならない)。

なぜ、メモリだけがそんなに高くなったのか。

AIが先に買っていくからだ。EE Times Japanが2025年12月1日に伝えたところでは、メモリメーカーはAI向けのHBMへ生産を移していて、スマホ向けのLPDDRが足りなくなっている。GIGAZINEが2026年2月12日に伝えた記事では、DRAMの価格が80〜90%上がり、2026年に供給されるメモリの約70%をデータセンターが使う、としている。

日本の店頭では、こう出ている

遠い国の話だろうか。ケータイWatchに載った石川温の6月26日のコラムには、日本で売られている機種の値段が並んでいる。Xperia 1 VIIIが23万5400円(RAM16GB、ROM256GB)。AQUOS R11は前の機種から約5万円上がった。OPPO Find X9 Ultraが27万4800円。メーカー関係者の言葉として「前モデルに搭載していたメモリーの価格に比べて数倍は上がっている」という話も出てくる。

日本ではここに円安も重なり、特に安い機種が苦しくなっている。シャープは、ミドル以上の機種の比率を、いまの4割から7割に高める方針だという。

値上げの次に来るもの

余承東は、値上がりで低価格帯の市場が縮み、各社は中価格帯から高価格帯へ移ることになると指摘した。その領域はファーウェイの強みだ、とも話している。

もう一つ、値札に出てこない動きがある。石川のコラムによると、メモリの搭載量を抑えて値上げを避けるメーカーも出てきた。ただ、それをやると将来OSのアップデートができなくなり、商品の寿命が短くなる。値段が同じでも、使える年数が減るということだ。

では、いつ戻るのか。半導体を請け負って作る中国最大の会社SMIC(中芯国際)の趙海軍CEOは「誰もが少しパニックに陥っています」と話し、9か月以内にメモリの供給量が増える可能性に触れた。ただし、HBMなどAI向けが優先されるため、一般の利用者向けの改善は遅れる、とも指摘している(GIGAZINE、2月12日)。

数字を一つだけ持って帰るなら、これだろう。2026年に供給されるメモリの約7割は、データセンターが使う。世界中のスマホとパソコンは、残りを分け合っている。

出典

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