10/6 22:19 更新

物語だけを売るなら、
熱はすぐに冷める

――ある農協の総幹事が

写真はイメージ Photo by Farnaz Kohankhaki on Unsplash

10/6 16:39 / 発信国:台湾

夜市の味を袋に詰めた台湾の農協 270万袋で、地元の畑が足りなくなった

台湾の雲林県台西郷農会が売るトウモロコシの袋菓子が、累計270万袋を超えた。売上は3億台湾元を超えたと、2026年9月23日の台湾の報道が伝えている。農会は日本の農協に当たる組織で、商品名は「烤玉米」。夜市で売られる焼きトウモロコシの味を、芯をかじらずに食べられるようにした菓子である。

発売は2025年5月。台湾のネット反響調査サイト「網路溫度計 DailyView」が9月に出した農会食品の話題量ランキングでは、この菓子が7,978件で1位だった。2位は関西鎮農会の仙草茶・燒仙草(1,209件)、3位は番路郷農会の茶燒米菓(902件)。4位も台西郷農会で、虱目魚酥條(サバヒーのスナック、866件)が入っている。2024年9月30日から2026年9月29日までのFacebookやThreadsなどの投稿を数えたものである。

発端は、屋台の1本160元

開発を主導したのは、台西郷農会の総幹事、林添祥。きっかけは、屏東県の墾丁大街で1本160元の焼きトウモロコシを見たことだと、台湾の聯合新聞網に語っている。屋台には重さで値段を決める店が多く、1本が高くつく。しかも、かじって食べるしかない。

工場を十数社回り、作り方を30通り以上試した。商品になるまで3か月かかった。味だけ似せた粉菓子にはしない、粒の形は残す、というのが条件だった。原料は地元で育つ非遺伝子組み換えの黄トウモロコシで、粒を切り出し、たれをつけて弱火で焼き上げる。味は原味と辣味の2種類である。

ネットの書き込みは味をほめるものが目立つ。「這個超級好吃!!根本會上癮」(めちゃくちゃうまい、癖になる)。夫が娘の幼稚園の先生に分けたら、翌日その先生が2箱まとめて共同購入した、という投稿もある。読めた出典の中に、味や値段への不満は出てこなかった。

売れた結果、原料が足りなくなった。雲林の沿海にある台西周辺の4郷鎮では間に合わず、買い付けは嘉義県と彰化県にまで及んだ。使う量は年に1万トンを下らないと見られている。2026年9月には第2弾として、国産の蓬莱米に雲林産のトウモロコシ、枝豆、ニンジンを合わせた「烤香米」が発表された。

JAの直売所の加工品と比べる

日本にも、小さな村の農協の加工品が全国に出た例がある。高知県の馬路村農業協同組合。村の人口は1,000人を切った。面積の96%が山林で、段々畑のゆずの栽培面積は45ヘクタールである。その農協のぽん酢しょうゆは、JA全農が運営する産直通販サイト「JAタウン」でも扱われている。「1000人の村」の500ml1本が1,270円で全国に届く。

2つに共通するのは、直売所の棚の外に出たことだ。台西郷農会は共同購入、馬路村農協は通信販売である。もう1つ、どちらも素材の珍しさを前に出していない。鍋のたれと、夜市の味。客がすでに知っている食べ方の側から入っている、と筆者には見える。

売れる条件を、林添祥自身も語っている。各地の農会は自分の産業の持ち味を数え直し、「一郷一特産」を目指すべきだ、と。隣と同じ物では続かない。そのうえで、聯合新聞網にこう付け加えている。「物語だけを売るなら、熱はすぐに冷める」

出典

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