10/14 18:26 更新

パソコンとWiFiには
近づかないでください

――デンマークの海底トンネル工事で、社員に

写真はイメージ Photo by Bradley Andrews on Unsplash

10/14 12:18 / 発信国:デンマーク / 記者:工藤

デンマークの海底トンネル、船を止めたのは海ではなくサイバー攻撃だった

デンマークとドイツを結ぶ海底トンネルの工事が、10月13日に止まった。嵐でも事故でもない。工事を請け負うFemern Link Contractors(FLC)のコンピューターが、サイバー攻撃を受けたからだ。現場の船は海の上で動かなくなり、社員はパソコンとWiFiから離れているよう言われた。

船は、データがないと動けない

デンマークのTV2によると、ITの不調は12日の夜に始まった。コンピューターの大部分は落とされ、WiFiも使えなくなった。警備員の入退場システムも止まり、来客は手書きで受け付けていた。社員の入場カードも、一時使えなくなった。現場は、デンマーク側のロービュハウン(Rødbyhavn)だ。

では、なぜ会社のコンピューターが止まると、海の上の船まで止まるのか。TV2は、現場の船が、作業をするのにデジタルの仕組みとデータに頼っているためだと伝えた。ウクライナのua.newsは、クレーンと海の上の作業台も動かせなくなり、工事は完全に止まったと伝えている。

報じられた内容のなかに、設備が壊れたという話はない。使えなくなったのは、船を動かすのに要るデータと、その仕組みのほうだ。

トンネルは全長18キロ。沈埋トンネルとして、世界でいちばん長くなる。沈める函は89個。1個の長さは217メートル、重さは73,500トンを超える。中は5本の管に分かれ、2本が高速道路、2本が鉄道、1本が設備用だ。事業主体のFemern A/Sは9月28日、つながったトンネルが最初の1キロに近づいたと知らせた。18キロのうち、まだ1キロ目だ。

入退場に使うカードリーダー
写真はイメージ Photo by Jakub Żerdzicki on Unsplash

ネットの評判

米国の掲示板ハッカーニュース(Hacker News)では、14日の時点で156点を集め、121件の書き込みがついた。話の中心は、インフラの弱さだ。「大きく見れば、この先に来るのは、物理的なものがどんどんインターネットから外されていくことだ」という声が出た。

対策の話では、意見が割れた。外とつながらない社内ネットにすればいいという書き込みに、「ネットから切り離しても、いつか管理者がミスをして、振り出しに戻る」という返しがついた。

犯人も、いつ戻るかも分かっていない

国が持つ会社のSund & Bæltの広報責任者イェンス・ヴィレモース(Jens Villemoes)は「FLCとこの状況について話し合っている。現時点で、それ以上の情報はない」と話した。

シグネ・ムンク都市・地方・交通相(Signe Munk)は「我々はこの状況をとても深刻に受け止めている」と話した。社会の安全と防災を担当するリスベト・ベック=ニルセン相(Lisbeth Bech-Nielsen)は「我々は世界でもっともデジタル化が進んだ国の一つだ。その分、攻撃に弱い」と話した。

ロシアの関与を疑う見方も出ている。デンマークの当局は最近、ロシアからのサイバー攻撃に警告を出し、脅威のレベルを高に上げていた。ただ、デジタル安全評議会の会長ヘニング・モーテンセン(Henning Mortensen)は「何が起きたのか、だれが裏にいるのかを決めるには、もっと情報が出るのを待つしかない」と話した。

では、工事はいつ動くのか。14日の時点で、だれがやったのかも、システムがいつ戻るのかも出ていない。18キロのうち1キロ目の海底で、89個の函のうち次の1個を待つ工事が、止まったままだ。

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出典

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