10/9 17:49 更新

4本と書かれていた触手が、6本あった

世界で6種目の新種クリオネ

写真はイメージ 撮影 Matt Wilson/Jay Clark, NOAA NMFS AFSC/Public domain(ウィキメディア・コモンズ)

10/9 16:03 / 発信国:日本

数え直したら触手が6本 知床の「イクオネ」、世界6種目の新種クリオネだった

新種のクリオネが見つかった。深い海の未知の生き物だと思った人には、拍子抜けだろう。正体は、北海道・知床の海でダイバーが30年以上も撮ってきた生き物だ。愛称は「イクオネ」。報告したのは、東洋食品研究所(兵庫県川西市)と北海道立オホーツク流氷科学センターの研究チーム。「流氷の天使」と呼ばれるクリオネでは、世界で6種目の新種になる。朝日新聞が2026年10月9日に伝えた。

では、なぜ30年も新種と決まらなかったのか。クリオネの正式な和名はハダカカメガイ。この仲間かどうかの線引きは、見た目のかわいさではない。バッカルコーンと呼ばれる触手が6本あるかどうかだ。イクオネは、その触手が4本しかないとされてきた。だから、クリオネとは別のグループの生き物だと思われていた。

触手が開く様子は、アクアマリンふくしま(福島県)の動画で見られる。映っているのはイクオネではなく、水族館のクリオネだ。

ところが、研究チームが体の構造を細かく調べると、触手は6本あった。遺伝子を読んでも、クリオネの仲間に入れるべきだという答えが出た。なぜ長く4本とされてきたのかは、朝日新聞の記事に書かれていない。図鑑に載る正式な和名も決まった。「イクオハダカカメガイ」。水中写真家・中村征夫(いくお)さんの名が、そのまま入っている。

「おこがましい」と本人は言う

中村さん(81)がこの生き物に出会ったのは1990年代。知床半島の海、水深10メートルほどだ。「完全に、魅了されました」と振り返る。撮った1枚は、1995年に出した写真集『カムイの海』(朝日新聞社)の表紙になった。愛称を言い出したのは、同じ水中写真家で知床の海のガイドもする関勝則さん(72)たちだ。

水中で撮影するダイバー
写真はイメージ Photo by Niklas Jonasson on Unsplash

自分の名が和名に残ることについて、中村さんはこう話す。「自分の名前がつくなんて、おこがましい。最初のうちは抵抗感がありましたよ」。照れくさいが、愛称は広く浸透してしまった、とも話す。北海道でおなじみのハダカカメガイより、イクオネは体つきが丸いという。

ちなみに、世界で5種目のクリオネも日本の海から出た。2026年2月に報告された、富山湾の「ニホンハダカカメガイ」。見つかったのは2016年、親子向けの海洋教室の調査中だった。こちらの報告にも東洋食品研究所が入っている。2026年だけで2種、日本の海からクリオネが増えた。

新種と聞けば、だれも潜っていない深い海の話だと思う。実際は、30年前に写真集の表紙を飾った生き物の触手を数え直したら、4本ではなく6本だった、という話だ。

出典

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