会社がまず、
生き残らないと
――あるスマホ会社の幹部が、値上げを前に
写真はイメージ Photo by Umberto on Unsplash
スマホ1台に200ドル上乗せ AIのメモリ争奪が値札に届いた
町の工場が、近所のスーパーで卵を箱ごと買っていくようになったとする。棚に残る卵は減り、値札は少しずつ上がる。買い占めているのは工場なのに、高くなった卵を持ってレジに並ぶのは、晩ごはんを作る人だ。
買い占めているのは、AIのデータセンター
これはたとえ話だ。実際に起きているのは、卵ではなくメモリの値上がりだ。ファーウェイ(華為)の常務董事・余承東(ユー・チェンドン)が、メモリ部品の値上がりで、スマートフォン1台あたりのコストが200ドル(約1343元)以上増えたと話した。9月29日の国際メディア向け円卓会議での発言を、中国のIT媒体IT之家などが10月6日に伝えた。
余承東によると、ファーウェイの端末は他社より積むメモリの容量が大きい。だから値上がりのぶんも大きい。いまは値上げを抑えて自社でコストをかぶっているが、全体の利益率は急激に下がっているという。そのうえで、こう話した。「展望未来,我们也不得不提高价格」(原文ママ/訳:将来を見れば、値上げをせざるを得ない)。「公司必须先能够生存下来」(訳:会社はまず生き残れなければならない)。
なぜ、メモリだけがそんなに高くなったのか。
AIが先に買っていくからだ。EE Times Japanが2025年12月1日に伝えたところでは、メモリメーカーはAI向けのHBMへ生産を移していて、スマホ向けのLPDDRが足りなくなっている。GIGAZINEが2026年2月12日に伝えた記事では、DRAMの価格が80〜90%上がり、2026年に供給されるメモリの約70%をデータセンターが使う、としている。
日本の店頭では、こう出ている
遠い国の話だろうか。ケータイWatchに載った石川温の6月26日のコラムには、日本で売られている機種の値段が並んでいる。Xperia 1 VIIIが23万5400円(RAM16GB、ROM256GB)。AQUOS R11は前の機種から約5万円上がった。OPPO Find X9 Ultraが27万4800円。メーカー関係者の言葉として「前モデルに搭載していたメモリーの価格に比べて数倍は上がっている」という話も出てくる。
日本ではここに円安も重なり、特に安い機種が苦しくなっている。シャープは、ミドル以上の機種の比率を、いまの4割から7割に高める方針だという。
値上げの次に来るもの
余承東は、値上がりで低価格帯の市場が縮み、各社は中価格帯から高価格帯へ移ることになると指摘した。その領域はファーウェイの強みだ、とも話している。
もう一つ、値札に出てこない動きがある。石川のコラムによると、メモリの搭載量を抑えて値上げを避けるメーカーも出てきた。ただ、それをやると将来OSのアップデートができなくなり、商品の寿命が短くなる。値段が同じでも、使える年数が減るということだ。
では、いつ戻るのか。半導体を請け負って作る中国最大の会社SMIC(中芯国際)の趙海軍CEOは「誰もが少しパニックに陥っています」と話し、9か月以内にメモリの供給量が増える可能性に触れた。ただし、HBMなどAI向けが優先されるため、一般の利用者向けの改善は遅れる、とも指摘している(GIGAZINE、2月12日)。
数字を一つだけ持って帰るなら、これだろう。2026年に供給されるメモリの約7割は、データセンターが使う。世界中のスマホとパソコンは、残りを分け合っている。
- 华为余承东谈内存压力:每部手机成本大增200美元,为保公司生存不得不涨价(IT之家)
- 内存涨价超 200 美元,余承东:为了生存,我们不得不涨价(新浪新聞/微博話題ページ)
- 华为余承东谈内存压力(IT之家 モバイル版)
- 余承东谈内存涨价压力:华为手机未来不得不涨价 公司必须先生存下来(快科技)
- LPDDRが足りない AIブームで価格高騰:2026年のメモリ価格は最大20%上昇か(EE Times Japan、2025年12月1日)
- メモリ不足問題について「業界はパニック状態」と中国最大の半導体受諾メーカーCEOが吐露(GIGAZINE、2026年2月12日)
- AIの進化がスマホからAIを遠ざける? メモリー高騰が招く「端末値上げ」のジレンマ(ケータイ Watch、石川温、2026年6月26日)
- 【特集】AI巡るメモリ争奪戦――2026年はPC、スマホに“冬”が到来(PC Watch、2025年12月24日)
あなたへのおすすめ よく読むカテゴリーから
よく読まれている記事
匂わせ
なかったよね
――あるユーザーが、突然の報告に
久保建英と福原遥が電撃婚、欧州旅行の写真は2年前から公開されていた
推し活の大賞を決めたのは、ファンの投票ではなかった
中島健人が受賞した、第1回 日本推し活大賞 2026の話
中島健人、第1回「日本推し活大賞」男性アイドル部門を受賞 決めたのはファン投票ではなく、業界関係者へのアンケートだった
30万のコート、
誰が買うんだろう
――松本潤が着た、29万7,000円のトレンチ
アクアスキュータムの客は50〜60代、そこに43歳の松本潤が呼ばれた
このままでは
箱根のシードも取れんぞ
――青学大の原晋監督が、出雲駅伝のあとに