10/13 23:45 更新

ついに衛星までも
中国の衛星、近づきすぎ

――ドイツ軍も使う通信衛星の客に、数日前

写真はイメージ Photo by Donald Giannatti on Unsplash

10/13 21:20 / 発信国:ドイツ

ドイツ軍が使う通信衛星に、中国の衛星が100キロまで寄ってきた

中国の衛星「TJS-20」が、ドイツ軍も使うイギリスの会社インマルサットの通信衛星に、100キロほどまで近づいた。地上から約3万6000キロの静止軌道でのことだ。WDR、NDR、南ドイツ新聞が10月13日に報じた。西側の軍は、この中国の衛星を偵察用とみている。その見立てに沿えば、軍の電話線のわきに盗聴器が置かれたようなものだ。

100キロは、宇宙では「すぐ隣」

接近を確かめたのは、フランスのアルドリアという会社だ。宇宙の監視を専門にし、フランスの宇宙機関や、フランス軍の宇宙コマンドと組んでいる。

この会社が集めた軌道の記録では、TJS-20はある時期、インマルサットの衛星との距離を100キロほどまで詰めた。宇宙では、めったにない近さだという。アルドリアのノルベール・ポザン氏は「こういう接近は普通ではない」と話した。これだけ寄るのは相手の衛星に関心があるからだと考えていい、とも説明している(ドイツ語の記事からの訳)。

ただ、この100キロはある時期の最接近だ。いまどれだけ離れているかは、出典では分からなかった。

TJSは中国語の「通信技術試験」の頭文字で、中身を明かしていない国家計画の名前でもある。公式には、データを送る試験の衛星とされる。ただ、専門家も西側の情報機関も、スパイに使える衛星とみている。TJS-20は、ミサイル基地を見張る「火眼」ではなく、遠い軌道で電子偵察をする「前哨」の系統とされる。

暗号なら大丈夫、ではない

中身が暗号になっていれば、聞かれても平気ではないのか。

地上局の大きなアンテナ
写真はイメージ Photo by Donald Giannatti on Unsplash

民間の衛星を通る通信でも、大事な内容はほとんど暗号だという。それでも、外側は見える。地上のどの局とやりとりしているか、どの周波数を選んでいるか、いつ使ったか。こうしたことは読み取れて、分析もできる。

地上の局が分かると、何が困るのか。紛争になれば、その局が攻撃の的になりうる。宇宙の衛星に手を出さなくても、地上をたたけば衛星は止まる。

インマルサットの客には数日前、通信の周波数を変えるよう勧めが届いた。3社の取材でつかんだ話で、だれが勧めたのかは明かされていない。狙いは、盗み聞きをできるだけ難しくすることだ。ただ専門家は、いまの位置なら周波数を広く拾えるので、変えても盗み聞きはほとんど避けられないと説明した。

親会社のアメリカのバイアサットも、ベルリンの中国大使館も、問い合わせに答えていない。ドイツ国防省の広報は「軍事上の安全のため」として、宇宙の設備への脅威は話さないと答えた。ドイツ軍の宇宙コマンドが宇宙の状況を切れ目なく見ている、とだけ伝えた。

自前の衛星は、一桁

なぜドイツ軍は、民間の衛星を使うのか。自分で動かす衛星がまだ10基に届かず、必要な通信量をさばくために民間の会社と組んでいるからだ。

海を進む貨物船
写真はイメージ Photo by Gary Walker-Jones on Unsplash

インマルサットは、船や飛行機の通信を担い、GMDSSも引き受けている会社だ。2023年5月31日に、バイアサットの傘下に入った。客はドイツ軍だけでなく、ウクライナもいる。

ロシアでも似た話があった。ドイツのピストリウス国防相は約1年前、ロシアのスパイ衛星2基がドイツ軍の使う衛星を見張っていると公表した。ロシアは、こうした非難をこれまで否定してきた。中国によるこの種の動きは、ほとんど知られていない。

ドイツ軍が借りている衛星のそばに、中国の衛星は数カ月いる。それに対して勧められた手当ては、通信の周波数を変えることだった。

出典

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