10/14 00:09 更新

グループの3人しか、
見ていないから

――ある病院の、夜勤の3人グループで

写真はイメージ Photo by Josh Power on Unsplash

10/13 14:12 / 発信国:日本

たった2秒で何が漏れる? 1位アプリ「setlog」で実際に起きたこと

10月12日、TBSの「Nスタ」が、若い世代に広がっている動画アプリ「setlog」のリスクを取り上げた。setlogは、韓国のNew Chat Inc.が作ったアプリだ。1時間ごとに通知が来て、そのとき目の前にあるものを2秒だけ撮る。1日分がたまると、自動で1本のVlogになり、最大12人のグループの中だけで見られる。

10月13日にApp Storeを見ると、ソーシャルネットワーキング部門の1位だった。評価は1,582件で、平均は3.6。無料で、13歳から使える。

2秒。たった2秒で、何が漏れるというのか。実際に起きたことを並べてみる。

2秒の背景に、何が写っていたか

一つ目は、千葉県松戸市の千葉西総合病院。10月5日の夜勤中、看護師がベッドに横たわる入院患者を無断で撮り、院内での自撮りに「まじ暇」「つまんねえ」という文字を付けていた。病院は10月8日に謝罪を出し、個人情報保護委員会へ報告した。三角和雄病院長は「医療に携わる者としてあるまじき内容がSNS上に投稿された。心より深くおわび申し上げる」と書いている。10日の第3報で、撮影と投稿に関わった2人を解雇、見ただけの1人を厳重注意とした。女性自身は、使われたのがsetlogだったと報じている。病院の発表に、アプリ名は書かれていない。

二つ目は、仙台市。4月20日の夜、太白区の市立小学校の教員が、職員会議用に作ったGoogle Classroomの画面をスマホで撮り、SNSに投稿した。画面には、学校名と、別の教員の氏名が出ていた。市の発表にも、アプリ名はない。

三つ目は、西日本シティ銀行。4月29日の夜、下関支店の執務室を撮った映像が広まった。ホワイトボードには顧客7人の氏名、「新規開拓5件」といった業務目標、融資金額とみられる数字が写っていた。こちらで使われたのはBeRealだ。

つまり、3つのうち2つはsetlogではない。「このアプリが危ない」という話ではなく、「数秒の映像にも背景は写る」という話なのだ。

ネットの評判

病院の件では、Xに厳しい声が並んだ。「自分のおばあちゃんとかがこういう風に撮られてたら凄く嫌すぎる 絶対許せない」「看護師免許剥奪してやれって思う」。銀行の件でも「思いっきり情報漏洩してるんだけど」「恐ろしい」「これがとんでもなくヤバいことだとなぜ分からないのだろうか」という声が出ていた。

ただ、アプリそのものへの評価は割れている。App Storeの平均は、5点のうち3.6だ。成蹊大学特別客員教授でITジャーナリストの高橋暁子は、流行の理由について、Instagramの「加工疲れ」の反動ではないかとみている。盛らなくていい、という安心感が受けているらしい。

漏れるのは、撮った日ではない

ここが、いちばん引っかかるところだ。病院の説明によると、関わった3人は、不特定多数に広まる自覚はなく、グループの中で見せ合うつもりだったという。それがXに出た。どういう経路で外に出たのかは、病院も説明していない。

壁にかかった時計
写真はイメージ Photo by Monty Allen on Unsplash

高橋暁子は、動画について「背景の映り込みや音声から情報量が圧倒的に多い。思わぬ映り込みに注意が必要」と話している。写真と違って、音も一緒に残る。病院の会話、窓口のやりとり、教室の話し声。2秒は短いが、音はその2秒ぶん、丸ごと入る。

1時間ごとに2秒。起きている16時間ぶんを撮れば、1日32秒になる。1か月なら、約16分の映像がグループの中にたまる計算だ。

そして、漏れるのは撮ったその日とは限らない。ITジャーナリストの篠原修司は、銀行の映像に写ったホワイトボードの「2024年下半期業務目標」という文字などから、撮影は2024年10月の前後だとみている。ネットに出てきたのは、それから約1年半あとだった。

二択の設問:写真、送る前に背景見る?写真、送る前に背景見る?この話、あなたはどっち? →
出典

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