10/6 22:19 更新

本物は、
こっちです

――「ジャパニーズチーズケーキ」と呼ばれてきた菓子

撮影 ノボホショコロトソ/CC BY 4.0(ウィキメディア・コモンズ)

10/2 13:50 / 発信国:カナダ

TikTokで話題の「#Japanese cheesecake」日本人は知らない

ヨーグルトのカップにビスケットを数枚差し込み、冷蔵庫で一晩置く。それだけで、チーズを使っていないのにチーズケーキのような味になる。いま海外のTikTokで、この菓子が「#Japanese cheesecake(日本のチーズケーキ)」と呼ばれて流行している。

2026年1月、TikTokで「Japanese cheesecake」と呼ばれる菓子が広がった。材料は二つ。メディアTheTab(1月19日)は「天然のギリシャヨーグルトのカップにビスケットを入れるだけ」と書いている。焼かず、チーズも使わない。入れるのは主にロータス・ビスコフだという。

TikTokでこの投稿を見る

Daily Dot(1月21日)によると、旅行系の投稿者が1月7日に「日本で大流行している」と紹介し、そこから米国に広がった。ある投稿は1070万回以上再生され、ハッシュタグ「#japanesecheesecake」には1万9600本を超える動画が集まった。カナダの食品流通業界誌Canadian Grocerも5月29日、2026年にバズった食べ物を並べた記事のヨーグルト菓子の項で、この「日本の材料2つのヨーグルトチーズケーキ」を試した投稿を引いている。

日本の認識と海外の認識の違い

TheTabは名前の由来を「流行が日本のSNSで始まったから」と説明し、日本ではショートブレッドのようなサブレを使っていたと書く。国内の記事では、ココナッツ風味のサブレとの組み合わせが発端とも言われると紹介されている。つまり作り方は日本で先に広まっていた。なかったのは名前のほうだ。日本語の投稿はこれを「ヨーグルトにビスケットを刺すとチーズケーキみたいになるやつ」と呼ぶ。説明文であって、料理名ではない。

一方、「ジャパニーズチーズケーキ」は以前から別の菓子の名前だった。ふわふわしたスフレチーズケーキである。クリームチーズ、バター、砂糖、卵を使い、湯せんで焼く。1960年代にベルリンでドイツのチーズケーキに出会った日本の菓子職人が考え出したとされる。海外で「Japanese cheesecake」といえば、長らくこちらだった。空いていなかった席に、焼かない菓子が座ったことになる。

丸ごとのスフレチーズケーキ
もともと「ジャパニーズチーズケーキ」と呼ばれてきたスフレチーズケーキ(大阪・りくろーおじさんの店の商品)。撮影 Ocdp/CC0(ウィキメディア・コモンズ)

伝言ゲームの行き先

ここからは見方になる。日本側の反応で目につくのは、誇らしさよりも戸惑いだ。ある日本語の投稿は、クッキーをヨーグルトに漬けるとチーズケーキよりヘルシーだという話が、チーズケーキの素にオレオを刺してチェリーソースをかけたものを「ジャパニーズチーズケーキ」と言い切る形で返ってきた、と伝言ゲームの難しさを書いていた。別の投稿はこれを「魔改造」と呼んでいる。

そう考えると、日本でほとんど知られていないのは、むしろこの海外版の作り方のほうだろう。自分の家の味に国の名前が付いて戻ってくるとき、戻ってきたものは少し別の料理になっている。間違いと責めるか、よその家の味として一口もらうかは、受け取る側が決めることだ。

出典

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