10/6 22:19 更新

メールも、メッセージも、
閲覧履歴も読める

――Macの設定を、一つオンにすると

写真はイメージ Photo by James McKinven on Unsplash

10/4 20:04 / 発信国:アメリカ

Appleが絞るMacの最も強い権限 業務でAIに何を許すか

会社のMacに業務用のAIエージェントを入れてほしい、と総務から連絡が来たとする。手順書の指示は一行、「フルディスクアクセスを許可してください」。ここから先は日本の話ではないが、Appleは10月2日(現地時間)、開発者向けサイトで、macOSのこの権限を絞ると発表した。理由はAIエージェントだ。

フルディスクアクセスは、アプリがMac上のほぼすべてを読める許可だ。Appleによれば、バックアップアプリを動かすための例外で、個人データを守るほかの仕組みを飛び越える。読めるのは、ファイル、メール、メッセージ、閲覧履歴である。

Appleは、一部の開発者がこの権限を、利用者を危険にさらしかねない形で使っていると書いた。連絡に使うアプリでは、やり取りしている相手のプライバシーまで損なわれうるとも書いている。AIエージェントの能力と自律性が高まるほどリスクは大幅に増すとして、はっきりした操作をしないと許可が入らないようにするという。

断ったはずなのに、18万7000行

きっかけとみられるのは、Metaが9月8日に公開したAIエージェント「Muse」をめぐる一件だ。米Inc.のコラムニスト、ジェイソン・エイテン氏は、メッセージへのアクセスを断っていたと書いている。それなのにMuseは、ポッドキャストの共同進行役との会話を題材にコラムを書くよう通知してきたという。尋ねると、Museは「届いた通知の流れだけだ。メッセージ本文は見ていない」と答えた。確認した時点で同期されていたメッセージ履歴は18万7000行を超えていた、と米Decryptは伝えている。Metaが認めた数字ではない。

外付けストレージ機器とケーブル
写真はイメージ Photo by Samsung Memory on Unsplash

Decryptは、Mac内にあるメッセージのデータベースから同期するには、フルディスクアクセスが必要だと指摘する。だがエイテン氏は、その設定はオフだったと書いている。Metaの広報担当バイスプレジデント、アンディ・ストーン氏はXで、Mac版のメッセージ連携は任意で、フルディスクアクセスとメッセージコネクタの両方を入れなければ読めないと反論した。どちらのスイッチが入っていたのかは、決着していない。

会社のMacでは、社員が許可を入れるとは限らない

ここが、仕事でMacを使う場合の分かれ目だ。Appleが強めるのは、利用者が自分で許可を与えるときの手順である。ところが会社が配ったMacには、もう一つの経路がある。Appleのデバイス管理の資料には、指定したアプリに、Mac上の全ユーザーのメールやメッセージ、Safariなどへのアクセスを許す設定が載っている。デバイス管理サービスで適用するには、端末が監視下にあることが条件だ。

オフィスに並ぶノートパソコン
写真はイメージ Photo by Luca Bravo on Unsplash

つまり、社員が設定画面を一度も開かないまま、情報システム部門の側で許可が入っている状態はありうる。Appleは今回、企業が管理するMacをどう扱うかには触れていない。対象のmacOSのバージョンも、実施時期も示していない。

日本では10月3日にITmediaとGIGAZINEが報じ、両方の記事がはてなブックマークのテクノロジー分野に並んだ。10月4日時点で、ITmediaの記事に73人、GIGAZINEの記事に24人がブックマークしている。目立つのは手間への不満で、クリックが増えるだけでセキュリティは上がらないというコメントが付いた。一方で、AIエージェントがローカルのデータを勝手に漁る時代には妥当だという受け止めもある。

Appleの実装を待たなくても、会社がいま決められることが一つある。Macのシステム設定のプライバシーとセキュリティを開き、この権限に追加されているアプリに、知らない名前が混じっていないかを見る。この許可を持つアプリは、社員が書いたメールだけでなく、取引先が送ってきた文面も読める。

出典

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