10/10 22:05 更新

お金があれば、
なんでもできる

――ある人が、ガラス張りの店の写真に

写真はイメージ Photo by Michael Förtsch on Unsplash

10/10 19:49 / 発信国:日本

表参道のアップルストア、9.5mのガラスを褒める人と嫌う人

10月1日の朝、Xに表参道のApple Storeの写真が1枚投稿された。投稿したのは「hs」というユーザー。添えた一言は「お金があればなんでもできることを定期的に思い出させてくれる表参道のアップルストア」だった。この一言に建築の仕事をする人たちが「何がどう凄いのか」を説明した。投稿と返信をまとめたページ(Togetter)は、はてなブックマークのおもしろカテゴリの人気エントリーに入った。10月10日の時点で257人がブックマークしている。

写真を見ても、最初はピンとこない。ガラスの箱が光っているだけだ。凄いのは、写っているものではなく、写っていないものだった。

消えているのは、サッシと段差

Xで解説したアイリスというユーザーによると、普通、ガラスの自動ドアや壁を作れば、ガラスを支える太い金属の枠(サッシ)と、上に付く駆動装置の箱が見える。表参道の店には、それが見えない。ガラスそのものを構造体として働かせる「構造ガラス」という技術を使い、ドアの動く部分を消しているという説明だった。

別のユーザー、ぼっさんは雨の話をした。普通は雨対策で、ガラスの足元に金物や段差を付ける。「Appleは、それを全部見せたくない」。だからガラスの下に精密な排水を仕込み、支持金物も防水も見えないように処理してあるという。

建物の側の数字も出しておく。通りに面したガラスは高さ9.5m。全部で500m²を超え、1枚の大きさは日本のApple Storeで最大だ。5層の合わせガラスで、厚みは約50mm。設計は光井純アンドアソシエーツ建築設計事務所。2014年6月13日に、日本で8番目のApple Storeとして開いた。

Xでは「札束で免震にして」という説明も並んだ。免震なら、通り側に太い柱を立てずに一面ガラスが成り立つ、という筋だ。ただ、本誌が読んだ建築の記事に、この店が免震構造だという記述は見つからなかった。X上の説明として読むのが正確だろう。

ネットの評判

はてなブックマークのコメント欄は、きれいに割れた。

技術を買う側は「iPhoneが支えているのは確か」と書いた。施主と設計者の架空のやりとりを作った人もいる。柱を無くせと言われ、日本は地震が多いと返し、費用が、と言いかけたところで「無くして」。Xには「10年程前、建設時のガラス施工業者でした。大変だったな〜」という声もあった。

お金の出どころが気になる側は、もっとはっきりしている。「何があかんの?と思ったら、お金がここに流れているから嫌ってことか。」「こういう拘りがAppleを選ばなくなった理由のひとつ。」自分を笑う人もいた。「俺が納めたお布施が世界中に顕現したスケスケビルヂングの一部になってると思うと感慨深いものがありますね」。

見ているガラスは、どちらも同じだ。違うのは、それを技術の成果と見るか、自分が払った値札と見るかだ。

掃除する人には、不評だった

そこに、3つめの声が入った。ある元ビル清掃屋は、この店に巾木がないと書いた。

「元ビル清掃屋からすると巾木がないので床清掃の時に壁に寄れない&洗剤が散ってガラスも全面清掃するハメになるので非常に不評です」

巾木を1本やめただけで、床を拭く人は壁に寄れない。ガラスも毎回、全面を洗うことになる。

出典

よく読まれている記事

こちらの記事も

← 一覧へ戻る