10/10 22:05 更新

正直、どっちを使ってるか
自分でも分からない

――ある技術者が、1か月使ってみて

写真はイメージ Photo by Domaintechnik on Unsplash

10/10 15:20 / 発信国:アメリカ・中国

月10ドルの定額で1か月、技術者が中国製AIにやらせたこと

会社の金で上等な道具が使えるのに、毎日握るのは月1,000円ぽっちの安いほうだ。そんな同僚がいたら、どう思うだろう。

これは日本の職場の話ではない

ある技術者が2026年10月7日、英語の個人ブログに「業界はなぜDeepSeek 4.1 Flashで騒がないのか」という記事を出した。中国のDeepSeekが9月10日に公開したAI「DeepSeek-V4.1-Flash」を、1か月、10件あまりの案件で使い込んだ記録だ。技術者が集まる英語の掲示板Hacker Newsに投じられ、10月10日の時点で1,086点、コメントは956件。

作業中にモデルの名前を見なければ、「DeepSeekを使っているのかOpusを使っているのか、正直に言って自分でも区別がつかない」(訳)。Opusは、Claudeを作るアメリカのAnthropicの上位モデルだ。

1か月、何をやらせていたのか

で、気になるのはそこだ。その安いAIに、何をさせていたのか。

ブログに並ぶのは、派手な難題ではない。「くだらない作業や、UIをでたらめに触って試す検査を回すのに、もう気後れがない」(訳)。たとえば、デスクトップのファイルを整理させる。それで「1ドルではなく0.003ドルで済む」(訳)という。約330分の1だ。

重い調べものや、段取りを立てる作業も投げていた。月10ドルの定額プラン(OpenCode Go)で「ほぼ無制限」(訳)。1日がかりの作業でも、見込みの費用が1ドルを超えることはめったになかったそうだ。

本当に差がないのか、とは思う。全部を任せているわけではない。「ときどきOpus 5.5を呼んで、最後のコードレビューをさせる」(訳)。そこで見つかった細かい抜けを直すのは、またDeepSeekである。呼ぶ理由は、品質のためというより、問題に新しい目を入れたいからだという。

安いほうしか使えない人ではない。「仕事ではClaudeやCursorなども支給されている」(訳)。高いほうを選べるのに、安いほうを常用している。ただ、これは一人の技術者の体感で、測った結果ではない。

なぜ、そんなに安いのか

DeepSeek-V4.1-Flashは、全体では5,520億パラメータある。それでもMoEなので、1トークンあたりに動くのは、読み込みで80億、書き出しで160億だけだ。KVキャッシュも1トークンあたり890バイトで、前の世代の約4分の1に縮んでいる。重みはHugging Faceで、MITライセンスで公開されている。

パソコンのメモリー基板
写真はイメージ Photo by Franck V. on Unsplash

価格も、公開と同じ日に下がった。では、なぜそこまで安く売れるのか。ブログは、学習にかけた金を取り戻さなければならない最前線の研究所と、「研究開発を飛ばせる後発薬のメーカー」(訳)のような側との違いを挙げる。値段はほぼ「90%引き」だという。

ネットの評判

Hacker Newsでいちばん支持されたのは、反論だった。多くの人は手厚く補助された定額を使っているのだから、開かれたモデルが安くても響かない、という指摘だ。月20ドルの契約で1日に168ドル分を使った、と請求を見て書いた人もいる。DeepSeek側は値下げを補助で支えていない、という声も上がった。

止める声もある。公式のAPIは入力を学習に使うのではないか、という心配だ。業務用のAPIと消費者向けのチャットでは規約が違う、という反論も出ている。

開かれた重みで桁違いに安いモデルが実用の水準に来たのに、業界が騒いでいない。ブログが突いているのはそこだ。1か月使い込んだ本人が、それでも高いほうのOpusを呼ぶ理由に挙げたのは、品質ではなく「新しい目」だった。

出典

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