10/9 17:49 更新

募集した証拠は
日曜の新聞で

――ある役所が、人を雇う会社に

10/9 15:05 / 発信国:アメリカ

2026年の永住権申請に、いまも日曜の新聞広告 米が8社を停止

2026年10月8日、アメリカの労働省が、マイクロソフトやアドビを含む8社を、外国人社員の永住権(グリーンカード)の手続きから外した。止めたのはPERMという段階で、仕事を理由にした永住権申請のほとんどが、最初に通る関門だ。これから出る申請は受け取らず、審査に入っている分も手を止める。ほかはコグニザント、インフォシス、タタ、ウィプロ、HCL、キャップジェミニ。

では、その関門で、会社は何をするのか。勤務地で広く読まれている新聞の日曜版に、求人広告を2回出す。2026年の話である。

なぜ止めたのか

発表したのはJ・D・バンス副大統領だ。米IT業界誌CIO Diveによると、マイクロソフトを名指しし、この制度をこの会社ほど悪用した企業は米国にないと話した。根拠に挙げた数字はこうだ。前の年に6,000人を解雇しながら、H-1Bビザの承認を約6,000件得て、PERMの申請を3,682件出していた。

労働長官のキース・ソンダーリングは、複数の連邦捜査が進んでいることを理由に挙げた。ただ、これで不正が確定したわけではない。移民法に詳しい法律事務所の解説では、捜査中の措置で、不正があったという最終の判断とは別だとされる。期間は、まず180日まで。決着がつかないあいだは延ばせる。

H-1Bそのものは止まっていない。いま働いている人は、手持ちのビザでそのまま働ける。止まったのは、その先の永住権への入口だ。マイクロソフトは、H-1B申請の8割は既存社員の延長や資格の変更で、新規の採用ではないと説明した。

「日曜版に2回」は、いまも条文にある

ここが、この話のいちばん奇妙なところだ。8社が形だけ満たしたと疑われている募集の手続きは、2026年のいまも紙の新聞を軸にしている。

積み上げられた紙の新聞
写真はイメージ Photo by Utsav Srestha on Unsplash

連邦規則集はこう決めている。専門職の求人なら、州の労働機関に30日間、求人を出すこと。そして、勤務地で広く読まれている新聞に広告を出すこと。その回数を、条文は「two different Sundays」(異なる2つの日曜)と書く。証拠は、広告が載った紙面のコピーでよい。

求人サイトはどうなっているのか。条文にも出てくる。ただし、合同説明会、大学での募集、ラジオ、テレビなどと並ぶ10個の選択肢から3つ選べばよい「追加の手段」のほうだ。必ずやるのは、州への求人と、日曜版の新聞広告。この決まりは、2005年3月に動き出した制度から、ほとんど変わっていない。

ネットの評判

技術者が集まる掲示板ハッカーニュースでも、この話はよく読まれた。本誌が9日に開いた時点で、推薦856件、コメント1,463件。目立ったのは制度への呆れと、形だけの募集の手口だ。技術者の目に入りにくい新聞を選ぶ、郵送でしか応募できない求人票を出す。アンドロイド開発の求人で、郵送応募のみという例も挙がった。だいたいどこもこうやっているのに、マイクロソフトだけが止められたのはおかしい、という指摘もある。

直す話は、予定表には載っている

労働省も、古いことは分かっているらしい。統一アジェンダには、PERMの募集のやり方をいまの採用に合わせる規則案(整理番号1205-AC29)が載っている。説明には、いまの規則が2004年以来、まとまった見直しを受けていないとある。

列柱のある官庁の建物
写真はイメージ Photo by Katie Moum on Unsplash

ただ、予定表が示す案の公表時期は2026年7月だった。10月のいまも、本文は出ていない。労働省が公表している処理時間では、2026年8月に決定が出た申請の審査に、平均336日かかっていた。

8社が止められた2026年10月の時点で、永住権の第一段階に要るのは、日曜版の新聞に2回の広告である。

出典

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