10/9 17:49 更新

うちの町から、
初めて国会へ

――ある町から出た34歳が、初当選の夜に

写真はイメージ Photo by Ana Soares on Unsplash

10/9 14:36 / 発信国:ブラジル

ブラジルでトランス議員3人目、同じ選挙で議会は右へ振れた

地元の小さな町から出た人が、県の代表として初めて国会に送り込まれた――と考えてみてほしい。これは日本の話ではない。10月4日にあったブラジルの総選挙で、タバタ・ピメンタ氏(34)が連邦下院に初当選し、公にトランスジェンダーだと明かしている国政議員としてはブラジルで3人目になった。

ところが、同じ日に決まった議会の顔ぶれは、反対の方向へ振れている。

当選したのは、州都の市議だった34歳

ピメンタ氏が出たのは、北東部のリオグランデ・ド・ノルテ州。得票は92,743票で、州の有効票の4.71%だった。選挙管理当局が当選を確定したのは10月5日。州に割り当てられた8議席のうち、得票順では8番目だった。

投票箱
写真はイメージ Photo by Element5 Digital on Unsplash

生まれは、カルナウバ・ドス・ダンタスという住民1万人に満たない町だ。2016年の市議選で落選し、2020年に当選。2022年には下院に挑んで届かず、2024年に州都ナタルの市議になった。所属は緑の党(PV)。先に当選していた2人は、どちらも左派の社会主義自由党(PSOL)だから、3人のうち彼女だけが別の党から出たことになる。

当選の演説には、脳性まひのある弟のライアンさんが横にいた。弟のことが、障害のある人の権利を訴える出発点になったと現地紙は伝えている。演説で彼女は「これは、リオグランデ・ド・ノルテの人たちの勝ちだ」(訳)と話した。

同じ日、議会は右へ振れた

ここが、ややこしい。

議場に並ぶ議席
写真はイメージ Photo by Neon Wang on Unsplash

選挙に出た当事者の数は、確かに増えた。全国団体ANTRAの集計では、2026年の立候補は116人。2022年の79人から45.6%増え、数え始めた2014年以降でいちばん多い。当選したのは下院で3人、州議会で4人(公共放送アジェンシア・ブラジルの集計)。再選したエリカ・ヒウトン氏は150万票を超え、下院選で最も多くの票を取った女性になった。2022年は約25万6,000票だったから、6倍近くだ。

では、議会全体はどうなったか。労働組合系の調査機関DIAPの集計では、右派・超保守とされる政党の議席は、下院で248から260へ増えた。定数513の、半分を超える。ボルソナロ一家のPL(自由党)だけで121議席。2022年は98議席だった。上院はもっと動いた。32から48へ。81議席のうち、6割に近づいた。大統領選も、1回目の投票でフラビオ・ボルソナロ氏がルラ大統領を上回っている。

その議会で、何が動きそうなのか。地元紙コレイオ・ブラジリエンセは、刑事責任年齢を18歳から16歳に下げる憲法改正案などが前に出る、と伝えている。

ネットの評判

英語圏の掲示板サイトRedditの世界ニュース板では、当選を伝える投稿に3,295点が付いた。投稿に賛成の票を入れると点が増える仕組みで、関心の大きさの目安になる。コメント欄には、議員が1人増えたことを素直に喜ぶ声と、同じ選挙で議会全体が保守の側に寄ったことを心配する声が、並んで出ていた。喜ぶ人と頭を抱える人が、同じ開票結果を見ている。

ピメンタ氏の当選は、ぎりぎりだった。当局の記録では「平均で当選」。ブラジルの下院選では、まず政党ごとに議席を割り当てる。余った議席は、党の得票を「すでに取った議席数+1」で割った数字が大きい順に配る。彼女が入ったのは、その最後の配分だ。

彼女の議席は、513のうちの1つ。同じ選挙で、右派・超保守の議席は260になった。

出典

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