10/9 17:49 更新

30年ドアを押さえた石、1190万円

アメリカ・ミシガン州の農場

写真はイメージ Photo by Elin Melaas on Unsplash

10/7 17:28 / 発信国:アメリカ

納屋のドア止めが1190万円 1グラムの値段は金の20分の1だった

アメリカ・ミシガン州の農場で、納屋のドアを押さえていた石が、7万5000ドルで売れた。日本円にして約1190万円(2026年10月7日の仲値、1ドル158.45円)。持ち主のデービッド・マズレクさんが30年近くドア止めに使っていたその石は、重さ10.22キロの鉄隕石だった。買ったのは、ミシガン州立大学のエイブラムズ・プラネタリウムだ。

マズレクさんがこの石を手に入れたのは1988年。エドモア近郊の農場を買ったときに、前の持ち主から「それは隕石だ」と聞かされた。1930年代のある夜、自分と父は、石が落ちるのを見た。翌朝、穴の底から拾い上げたら、まだ温かかった。そんな話まで付いていた。

それでもマズレクさんは、約30年、その石でドアを押さえ続けた。子どもが学校の見せ合いに持っていったこともあるという。なぜ、そんなに長く放っておいたのか。動いたのは2018年だ。隕石のかけらが高く売れていると知って、石をセントラル・ミシガン大学へ運んだ。

地質学者のモナ・サーベスクさんが、石を切ってX線で調べた。本物だった。スミソニアンも確認した。サーベスクさんは「私が人生で手にした中で、金銭的にも科学的にも、いちばん価値のある標本だ」(訳)と話した。セントラル・ミシガン大学が付けた値は約10万ドル、約1580万円。マズレクさんは、代金の1割をこの大学に寄付すると約束した。

1グラムに直すと、意外に安い

ここが面白いところだ。1190万円を1万220グラムで割ると、1グラムあたり約1160円。鑑定額の10万ドルで計算しても、1グラム約10ドルにすぎない。

金とプラチナの地金
写真はイメージ Photo by Zlaťáky.cz on Unsplash

同じ日の金属と並べてみる。田中貴金属工業が2026年10月7日17時に出した店頭小売価格は、金が1グラム2万3441円、プラチナが9627円、銀が354.86円。この隕石は、1グラムなら銀の3倍ちょっと。金の20分の1でしかない。

では、同じ10.22キロが金だったら、いくらか。約2億4000万円。プラチナでも約9800万円になる。宇宙から落ちてきた石より、地球で掘った金属のほうが、ずっと高い。

それなのに、なぜ1190万円になったのか。重さだ。隕石は重さで売られる(アメリカの地質情報サイトgeology.com)。1グラム10ドルの石も、10キロあれば10万ドルになる。ミシガン州で記録された中でも、大きいほうの隕石だ。

では、1グラムの単価は何で決まるのか。geology.comは、種類の珍しさ、来歴、保存の状態、見た目の美しさを挙げる。日本の鉱物店では、ギベオンという鉄隕石の1グラムほどの小片が、約8000円から約1万1600円で売られている。10キロの塊のまま動いたこの石の7倍から10倍だ。

結局、この石が1190万円になった理由は、ドア止めに向いていた理由とまったく同じだった。重かったのである。

出典

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