10/9 17:49 更新

俺が取ってきた予算で
なんで動けるんだ

――ある大臣が、応援しなかった町に

写真はイメージ Photo by Jamar Penny on Unsplash

10/7 10:18 / 発信国:日本

応援しなかった町は50%以上減 簗農相に党内から「おごり」の声

国土交通省は10月6日、簗和生農林水産大臣の「予算を大幅にカットした」という発言について、調査結果を公表した。簗氏から今年2月、栃木県の那須烏山市と那珂川町で2026年度に実施する事業の予算配分額について、佐々木紀副大臣と黒田昌義官房長に問い合わせがあったことを確認したという。圧力や働きかけは確認されていないとしている。

聞き取りに対して黒田氏は「細かいメモがないので覚えていない」「はっきりと覚えていないくらいなので働きかけや圧力はなかったと思う」と答えた(日本経済新聞)。簗氏も会見で「私からの働きかけはございません」と述べ、問い合わせの時期は「記憶を持ち合わせていない」とした。

応援した町は増え、しなかった町は減った

同じ6日の午前には、配分額の数字が出ていた。TBS NEWS DIGによると、簗氏を応援した首長の自治体は、那須塩原市が1億2024万円(約11%増)、那須町が1648万円(約34%増)。応援しなかった首長の自治体は、那須烏山市が約63%減、那珂川町が約54%減だった。

地方の狭い道路のイメージ
写真はイメージ Photo by Craig Cameron on Unsplash

なぜ減ったのか。国交省は、配分は限られた予算の中で自治体の要望や事業の進捗状況などを総合的に勘案して決めていると説明する。数字の取り方でも結果は変わり、県が主体の事業を含めると那須烏山市は20.5%増、那珂川町は22.0%増になる(日本経済新聞)。ただ、那須烏山市では工業団地と特別支援学校の近くの道路を広げる事業が延期になった(東京新聞)。

簗氏は5月、地元の自民党支部の会合で、2つの自治体の2026年度の道路予算を大幅にカットしたと発言した。地元紙の下野新聞が音声を公開し、簗氏が「私が取ってきた予算をなんで受注するのか」と話していたことも伝わった。10月2日の会見では「大臣としてのコメントは控えたい」を約20回繰り返し(J-CASTニュース)、5日に発言を撤回して謝罪した。「自民党員の集まりで高揚感があり、誇張した表現をしてしまった」と説明し、辞任は否定している。

党内から出た「おごり」という言葉

批判は与党の中からも出ている。自民党の萩生田光一幹事長代行は6日の記者会見で「簗氏が当時、そういう思いで職務に当たっていたとすれば、それはおごりであって決して許されるものではない」と述べた。幹事長室が予算について他の部署より詳しく説明を聞ける立場だと認めたうえで、「だからこそ権力の使い方を間違えてはいけない」とも語った。党内では宮沢洋一参院議員も懸念を示している。

一方で東京新聞は、自民党内に、応援しなかったことへの「報復」として予算の減額を当然視する声があると報じている。

ネットの評判

Yahoo!ニュースでは、TBSの記事に4397件、国交省の調査結果の記事に3964件のコメントが付いた(6日深夜に確認した時点)。J-CASTニュースによると、SNSでは「誤解を招くレベルではない」「辞職もの」という声が続出した。擁護する声は、今回確認できた出典の中には見当たらなかった。

真相は、公表された調査結果を読んでも確定しない。国交省は圧力を確認できず、簗氏は働きかけを否定し、辞任もしない。ただ、一般企業の上司が会合で「自分に従わなかった部署の予算は削った」と口にすれば、その時点で人事やコンプライアンスの窓口が動く話だろう。国の道路予算では、同じことを口にした大臣が職にとどまり、党の幹事長代行がそれを「おごり」と呼んだ。

この話、あなたはどっち? →

出典

よく読まれている記事

こちらの記事も

← 一覧へ戻る