10/9 17:49 更新

届くなら、
店まで行かないよ

――インドで、日本のコンビニが5年で消えた

写真はイメージ Photo by Rap Dela Rea on Unsplash

10/8 17:52 / 発信国:インド

インドのセブン全31店が閉店 勝てなかったのは隣の個人商店

駅前に、海の向こうで有名なコンビニができたとする。24時間開いていて、菓子も飲み物も並んでいる。けれど、家から歩いて1分のところには、昔からの小さな店がある。しかもスマホで頼めば、同じ物が数分で玄関に届く。その新しい店に、わざわざ入る理由はあるだろうか。

舞台はインド、ムンバイとプネ

これはたとえ話で、日本で起きたことではない。実際の舞台はインドだ。セブン&アイ・ホールディングスの7-Elevenは、インドに残っていた31店を2026年9月30日に閉めた。店があったのはムンバイとプネ。セブン&アイの広報は、現地で店を運営していたリライアンスが31店すべてをその日付で閉めたと認めている。

ムンバイの街並み
写真はイメージ Photo by Ameya Khandekar on Unsplash

1号店は2021年10月、ムンバイのアンデリ東に開いた。インドの小売り大手リライアンス・リテールと、5年のマスターフランチャイズ契約を結んでのことだ。店は一時60店ほどまで増えた。そこから減り続け、最後に残った31店が消えた。

数字は、かなり厳しい。2026年3月期の売上は約92クロールルピー、米ドルにして約1060万ドル。純損失は約90クロールルピーで、売上とほぼ同じ額だ。1年で、売った分をそのまま失ったことになる。

働いていた人はどうなったのか。リライアンス・リテールの別の食品・小売りの事業に移った、と現地メディアは伝えている。

負けた相手は、隣の個人商店と「数分で届く」宅配

世界で店を増やしてきたチェーンが、なぜ勝てなかったのか。インドの業界メディアの分析では、二つの相手に挟まれていた。

インドの街角にある小さな商店
写真はイメージ Photo by Johannes Beilharz on Unsplash

一つはキラナだ。家から近く、客の顔を覚えていて、ほしい分だけ売ってくれる。顔見知りならツケも利く。店の設備も人手も、7-Elevenのような店ほど要らない。

もう一つはクイックコマースだ。頼んだ物が数分で玄関に着くなら、店に行く理由そのものが消える。

一方の7-Elevenは、家賃も人件費も在庫も、冷蔵設備も物流も抱えていた。その費用を薄められる店数に届かなかった、と現地のビジネスメディアは書いている。すぐ食べられる食事が弱かった、という指摘もある。同じ7-Elevenでも、タイでは売上の7割以上を食べ物が稼いでいるそうだ。インドでは、そこが作れなかった。

規模の差も書いておきたい。日本のセブン-イレブンは2万1743店あり、1店が1日に平均69万2000円を売る(2025年2月期)。インドでは、いちばん多いときでも60店だった。暮らしに密着した商売は、その土地の買い方に合っていなければ、店数そのものが伸びない。

ネットの評判

海外の掲示板サイトRedditの経済の板では、この撤退を伝える記事に781点の支持が付いた(話題を集めた時点)。目立ったのは、キラナがあって、7分で届く宅配もある場所で、わざわざコンビニに入る理由がない、という声だ。

セブン&アイは、インドの消費者に応えたいという姿勢は変えず、長い目で進出の道を探すとしている。そしてそのインドへ、別の日本のコンビニが入る。ローソンは2027年にムンバイで1号店を開き、2030年までに100店をめざす計画だ。

出典

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