10/6 22:19 更新

8頭に1頭まで
減るという

――子を産む世代のクマが

写真はイメージ Photo by Becca on Unsplash

10/6 21:25 / 発信国:日本

長野・群馬・栃木のクマ、17年捕り続けて雌の数はほぼ変わらず 減ったのは産む世代

国立環境研究所と東京農工大学などの研究チームが2026年10月5日、大量捕獲がツキノワグマの集団に何をもたらしたかを調べた結果を発表した。対象は長野・群馬・栃木の3県にまたがる「越後・三国個体群」で、2001年から2017年に捕獲された雌1,478頭の年齢を解析した。

増えていたのは1〜6歳の若い雌で、減っていたのは7歳以上の雌だった。雌の数そのものは、17年を通して大きくは変わっていない。

高齢の雌ほど、捕まりやすい

使ったのは、捕獲個体の年齢の内訳から、山に残った側の生息数と、年齢ごとの捕まりやすさを逆算する統計モデル(age-at-harvest model)だ。

山の広葉樹の林
写真はイメージ Photo by Isaac Maffeis on Unsplash

17年のうち6年が大量出没の年とされた(2006、2010、2012、2014、2016、2017年)。引き金の一つは、ドングリの凶作に伴う行動の変化とされる。この6年は、どの年齢層も平常年のおよそ2〜4倍の確率で捕獲されていた。

年齢による偏りは、平常年にもあった。7歳以上の雌が捕まる確率は、0〜6歳のおよそ2倍。この傾向は17年のすべての年で確認された。年を取った雌ほど捕まりやすい理由は、今回の発表に書かれていない。

7歳以上は、子を産む中心の世代にあたる。雌は平均5.4歳で初めて出産し、20歳ごろまで産み続ける。この世代が減るのに合わせて、0歳の子の頭数も減る方向に動いた。ただし、子の割合の低下がこの先も続くのかは、今回の解析では分からなかった。

0.98と1.02、向きが逆になる

研究チームは、実際の個体群と、大量出没の年に捕獲圧が上がらなかったと仮定した個体群を比べた。1年で生息数が何倍になるかを示す個体群増加率は、実際が0.98、捕獲圧が上がらなかった場合が1.02。1を下回れば減少、上回れば増加だ。差は0.04だが、向きは逆になる。この率が17年続けば、0.98では7割ほどに、1.02では1.4倍ほどになる(筆者が計算した)。

いまの繁殖率・死亡率・捕獲確率が続いた場合の年齢構成も計算された。7歳以上の雌が占める割合は、大量捕獲が起きない前提では23.8%。これからも定期的に起きる前提では12.5%まで下がる。8頭に1頭だ。頭数の増減はわずかなまま、産む世代の割合だけが半分近くに下がるという推定だ。ただし推定生息数の幅は大きく、解析対象は人の生活圏に近い場所で捕まった個体がほとんどだという。

では、被害はどうなるのか

2025年度、クマ類による人身被害は238人で、うち13人が亡くなった。いずれも過去最悪だ。同年度の捕獲数は1万4,720頭と、科学技術振興機構のサイエンスポータルが伝えている。ただし今回の研究が見ているのは2017年までで、記録的な捕獲が続いた近年は入っていない。

たくさん捕れば出没や被害もその分収まるという見通しは、この研究からは立てにくい。

若い個体に偏ると出没が増えるのかは、今回の解析では扱われていない。秋田県あきた森づくり活動サポートセンターは、親離れした若いクマが人の生活圏に出る可能性は高いと解説している。ただし遠くへ移動するのは主に雄で、雌の分散距離は約4kmとされる。今回の解析は、その雌だけを見ている。

答えが出るまでは長い。年齢構成の変化は2007年ごろから少しずつ現れ、統計的に有意になったのは2015〜16年。発表は、この変化が10年以上かけて進んだとしている。同じ速さなら、2025年度の記録的な捕獲が中身をどう変えたのかが見えるのは2030年代の半ば以降だと筆者は見ている。

研究チームは、捕獲した個体の性別と年齢を日ごろから押さえておく必要があると述べている。捕った頭数は、その場で数えれば分かる。山に残った雌が何歳なのかは、歯を取って年輪を読むまで分からない。

出典

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