10/6 22:19 更新

職員みんなで
詐欺じゃない?

――動物園に届いた、出版社からのメールに

写真はイメージ Photo by Jen Dries on Unsplash

10/6 21:29 / 発信国:日本

長野の動物園、飼育員が3年貼り続けたA4の紙が160ページの本に

長野県飯田市の飯田市立動物園で、飼育員の石川鈴夏さん(25)が園内に貼るために描いてきた動物の紹介が、KADOKAWAから本になる。題名は「飼育員が教える! 動物園が100倍楽しくなるどうぶつ図鑑」。A5判160ページ、1,705円で、発売日は11月26日。著者名は「すう」である。きっかけは、園の公式SNSに出した絵に2万件を超える「いいね」が付き、出版社の担当者が偶然それを目にしたことだった。

壁に貼ったA4の紙が、3年で26枚

絵は「いいだどうぶつずかん」という連番の掲示物である。A4の紙1枚に1種を収め、iPadの描画アプリで描く。来園者が園の展示物を読んでいる姿を見たのが、作り始めたきっかけだった。始まりは2023年1月のウサギ。そこから月に1枚ほどのペースで増え、26枚目のニホンジカは2025年12月だった。園で飼育しているのは約40種で、描けたのはまだ半分あまりだ。

中身は、絵に知識を詰める形になっている。ミーアキャットについて、園の公式サイトは「キャットとつくが、ネコの仲間ではなく、マングースの仲間です」と紹介している。キツネの回では、油揚げが好物という言い伝えに触れ、実際はネズミなどを好んで食べると説明している。掲示は園内に貼るほか、インスタグラムでも発信してきた。来園者からは「かわいくて分かりやすい」という声が出ている。

石川さんは長野市出身。動物専門学校を卒業し、2022年4月から飯田市立動物園で働く。担当はフンボルトペンギン、アンデスコンドル、アカモズ、キツネ、カエル、イモリなど。子どものころについては「シートン動物記が好きで挿絵の模写したり、絵の具でカナヘビ描いたり動物の絵ばかり描いていた」とFNNプライムオンラインに話している。

職員みんなで、詐欺を疑った

出版社から連絡が来たのは2025年春ごろ。石川さんは、これを詐欺だと疑った。理由も本人が語っている。「職員みんなで詐欺じゃない?ってKADOKAWAからメールくることあるかなって」。やり取りを重ねて、連絡は本物だと分かった。石川さんは「本当だったらすごいことだとやり取りして、本物でした」と話している。

本には、飯田にいない動物も載る

本は2部構成である。第1部では飯田市立動物園の動物をまんがで紹介し、第2部では、飯田にはいないライオンやキリン、ゾウを新しく描き起こした。KADOKAWAの紹介文には、たぬき寝入りは寝たふりではない、オシドリは1年ごとに相手を変える、キリンの歩き方は人が緊張したときの歩き方と同じだ、といった話が並ぶ。飼育員の一日や動物園の裏側を書いたコラムも入る。

動物園のキリン
写真はイメージ Photo by Anthony Melone on Unsplash

石川さんは飯田経済新聞に、何も知らずに動物園へ来ると「かわいい」「かっこいい」という姿に目が向くが、知識を入れてから見れば視点が広がると語る。「子どもだけでなく、大人の皆さんにも読んでほしい」とも話している。

園にいるのは約40種、描けたのは26種。本が11月に出ても、壁の掲示は途中のままである。

出典

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