10/14 00:09 更新

何もない田舎の風景
それでも300人が見ている

――岩手・遠野、田んぼの神社の24時間配信

10/13 22:34 / 発信国:日本

岩手・遠野の田んぼの神社を24時間映す配信に人が集まる理由は、音だった

岩手県遠野市の田んぼの真ん中に、茅葺き屋根の小さな社殿が建っている。荒神神社だ。この神社をカメラで映すだけのYouTube配信が、24時間流れている。出しているのは{{遠野テレビ|遠野市のケーブルテレビ局。自社サイトでニュースを流し、市内の4か所にもライブカメラを置いている|http://www.tonotv.com/index.html}}。10月13日の夜に開くと、その瞬間に見ている人の数は546人と出ていた。

映っているのは、神社と田んぼと、遠くの山。人はほとんど通らない。それでも、見ている人が途切れない。7月に投稿をまとめたページ(Togetter)で話題になったときは「常時230人くらい視聴」と書き込まれていた。8月にこの配信を取り上げた個人のブログには「常に300~400人の方がご覧になっているようです」とある。

いま流れているのは、9月9日に始まった2本目だ。1本目は5月に始まり、5月31日の日没で止めた。遠野テレビはそのとき、春夏秋冬の年4回に分けて届けると、Xで知らせていた。それが通年に変わる。ライブカメラを紹介するサイトには、遠野テレビの説明として「前回のライブ配信が多くの皆さまからご好評をいただいた」ことから、一年を通して届けることにした、と載っている。止めた1本目は、72万回以上再生されていた。

10月12日には、テレビ番組の「月曜から夜ふかし」でこの神社が紹介された。遠野テレビも自社サイトのその日のニュースで「きょう放送 月曜から夜ふかし『荒神神社』登場」と伝えている。546人は、その分だけ増えた数字だろう。

見た人が書くのは、たいてい音の話

で、何がそんなにいいのか。見た人が書いたものを読むと、話はだいたい音に向かう。7月のまとめには「急に音声入って虫と蛙がめちゃくちゃ鳴く」という投稿が並んでいる。香川県の不動産会社のブログには、虫が飛んできたり、農機具か車の音や風の音が聞こえたりすると書かれていた。ある朝には、地域の防災放送でクマの目撃の知らせが流れてきたという。

実った稲が広がる田んぼ
写真はイメージ Photo by Sebastian S on Unsplash

ここが、ややこしい。ライブカメラを集めたサイトを二つ開くと、荒神神社のカメラは、一方では音声の欄が「–」、もう一方では「音声なし」。どちらも音なしの扱いだ。音が効いているのに、一覧では音なしの箱に入っているわけだ。遠野テレビが音をどう扱っているのかを説明した文は、探しても見つからなかった。

景色だから、ではない

神社のほうも押さえておきたい。田畑に囲まれた狭い土地に茅葺きの社殿がぽつんと建つ景色は、遠野の原風景として観光のポスターにも使われ、遠野市が選ぶ遠野遺産の第37号にも入っている。

ただ、景色のカメラなら、ほかにもある。遠野市のライブカメラは、ある一覧サイトだけで31か所。国道や川を映すものが多いが、めがね橋や鍋倉展望台、ひまわり畑を映すカメラも並んでいる。景色がいいから人がいる、では説明がつかない。音のついた自然の映像で人が居続けるなら、同じ型で流せる場所は全国にいくらでもある、というのが筆者の見方だ。

ネットの評判

広まったきっかけは、7月のまとめだ。題に「夜はめっちゃ怖い。なんで神社を24時間映しているのかはわからない」と入っていて、3万2,000回以上読まれている。並ぶのは、夜の画面が怖い、急におすすめに出てきた、虫やカエルの声に驚いた、という声。けなす書き込みは、ほとんど見当たらない。

河童より、田んぼ

遠野テレビは、10月7日からもう1本ライブカメラを流している。河童の伝承で知られるカッパ淵(遠野市土淵町)のカメラで、「遠野まちなか妖怪フェスティバル」に合わせた11月30日までの期間限定。題は「かっぱは現れる!?」。10月13日の夜、そのカッパ淵を見ていた人は20人ほどだった。河童が出るかもしれない配信より、何も出ない田んぼの神社のほうが、500人以上に見られている。

出典

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