底を上にしたら、鉱石が出た
長崎・茂木のカステラ
写真はイメージ 撮影 663highland/CC BY 2.5(ウィキメディア・コモンズ)
「ほぼ鉱石」で206万表示のカステラ、変わったのは向きだけだった
カステラの写真には、だいたい決まった型がある。正面から1本、あるいは切り分けた断面。しっとりした黄色い生地に、うっすら茶色の焼き面。もう何百回も見た絵だ。
ところが、ある1枚はその型をまるごと無視していた。皿の上で、カステラが底を天井に向けている。
茂木一まる香本家の長崎かすてら🥚
ざらめたっぷり、じゃりじゃりどころではなくてガリッガリでめちゃくちゃ美味しい pic.twitter.com/fuqQ1qo7Vq— an🤍 (@anpiic_) June 17, 2026
主役は生地ではない。ざらめの粒が、底の面を端から端まで埋めている。氷砂糖を割って一面に並べたような大きさだ。ねとらぼによると、横にすれば皿にこぼれ落ちるほどの量がある。この投稿は206万回表示され、3万1,000件を超える「いいね」が付いた(「♡」=@anpiic_ の投稿。2026年7月20日のねとらぼ記事掲載時点)。
「ほぼ鉱石」。付いた呼び名がこれである。菓子の感想としてはなかなか失礼だが、写真を見ると、これより正確な言葉も思いつかない。ほかにも「顧客が求めていたものすぎる」「ザラメが本体」「即注文した」という声が並んだ。
新商品ではない
ここで拍子抜けする話をすると、この鉱石は新発売の品ではない。長崎市茂木町の「茂木一まる香本家」が売る「長崎かすてら 0.5号」。価格は1,080円(税抜1,000円)。大きさは、ねとらぼによると90×120×48ミリ。公式サイトの商品説明には、こう書かれている。「ザラメをちりばめ、昔ながらにしっとりと焼きあげました」。卵は長崎県雲仙市の「太陽卵」。店の創業は弘化元年、1844年である。
つまり、ざらめは前から売り文句に入っていた。一行、ちゃんと書いてある。レシピが変わったわけでも、値下げしたわけでも、新しい広告を打ったわけでもない。
206万回の表示に必要だったのは、カステラを裏返すことだけだった。
底は、ずっと下にあった
売り場でカステラがこちらに見せているのは、いつも焼き面か断面だ。箱を開けても、包み紙をはがしても、底は下を向いている。この菓子がいちばん派手に持っている部分は、構造上、見えない側に置かれていたことになる。
商品写真を何枚撮っても出てこなかった絵は、買った人がひっくり返した手元で一発で出た。動かしたのはカメラではなく、カステラのほうだった。
その絵を見せたのは、底面を上に向けた1枚だけである。カステラは何も変えていない。ずっと同じ場所に同じ量のざらめを敷いて、律儀に正面を向いていただけだ。
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