上限額は20,000円で、
個別の変更等はできません
――JR東日本の案内ページ
写真はイメージ Photo by Markus Winkler on Unsplash
Suicaの「2万円の壁」は法律ではなかった 10月20日teppay開始
JR東日本は10月6日、モバイルSuicaアプリの中で使えるコード決済「teppay(テッペイ)」を、10月20日11時から順次始めると発表した。マイナンバーカードで本人確認をすれば、teppayの残高から最大30万円まで支払える。Suicaの電子マネーは、長い間2万円が上限だった。
別のアプリは要らない。モバイルSuicaアプリにteppayのアイコンが増え、そこをタップすると切り替わる。使えるのはJR東日本グループの商業施設とteppay加盟店、「スマートコード」のマークがある全国170万カ所以上だ。残高は家族や友人と受け渡しでき、モバイルSuicaへのチャージや定期券の購入にも使える。ただしteppayの残高と交通系ICの残高は別で、teppayの残高のまま電車やバスに乗ることはできない。
2万円は、法律が決めた金額ではない
では、その2万円は何だったのか。JR東日本は問い合わせページで「SuicaのSF(電子マネー)上限額は20,000円で、個別の変更等はできません」と案内している。理由は、2019年2月14日の東洋経済オンラインの取材に答えた一文にある。「利用実態や、再発行ができない無記名Suicaを紛失した場合のお客様の損失、不正利用やセキュリティの観点から、上限額を2万円としております」。
名前を登録していないSuicaは、落としても再発行ができない。拾った人が使い切れば、その分は戻らない。だから入れられる金額を低くしてある、という説明だ。法律が2万円と決めていたわけではない。同じ記事は、楽天Edyやnanaco、WAONは2万円より多くチャージできるとも書いている。Suicaでの買い物は2004年3月22日に始まったが、2万円が当初からの金額かは、開いた出典では確かめられなかった。少なくとも2019年から動いていない。
30万円は、本人確認とセットの数字
一方、teppayの30万円には制度上の裏づけがある。決済専門メディアのペイメントナビは2026年3月、上限は「前払い式支払い手段の法律に基づき、使い方や本人確認の状況を踏まえて最大30万円となる」と報じた。2023年6月に施行された改正資金決済法は、他人へ移せる前払式支払手段のうち、一部を「高額電子移転可能型前払式支払手段」と呼ぶ。移せる残高が1件10万円を超えるもの、または1か月の総額が30万円を超えるものだ。この手段の発行者は犯罪収益移転防止法の特定事業者となり、アカウントを作るときの本人確認が義務になる。マネーロンダリング対策のための区分だ。
teppayの残高は、家族や友人へ渡せる。つまり「移せる」前払式支払手段にあたる。2万円を超える鍵は新しい技術ではなく、利用者が名前を名乗ることだったと読める。
ネットの評判
JR東日本の発表資料を載せたはてなブックマークのページは、222人がブックマークし、99件のコメントが付いた。多いのは、新しい決済より先に今のSuicaを直してほしいという声だ。「顧客が欲しかったものは、新しい決済サービスじゃなくてSuicaの上限を5万円とかにすることだと思う」「いまさら新参のコード決済が流行るものか」。PayPayやクレジットカードで足りるという指摘も目立つ。
JR東日本の担当者はペイメントナビに「teppayで二階建てのサービスを構築し、Suicaで実現できないUXを体験してもらうようにしました」と話している。1階が2万円のSuica、2階が30万円のteppayだ。ただし日経ビジネスは2025年12月9日、teppayは「つなぎ」で、JR東日本は今後10年以内にSuica本体で「2万円の壁」を突破する計画だと報じた。
- Suicaの新コード決済「テッペイ」10月20日開始 上限2万円を超える(Impress Watch)
- JR東日本、モバイルSuicaで利用できるコード決済「teppay」を発表 10月20日以降順次提供開始(AMP MEDIA)
- JR東日本のコード決済「teppay」10月20日開始、最大20%還元も(ケータイ Watch)
- Suicaに入金(チャージ)できる上限金額は?(JR東日本 モバイルSuicaサポート)
- Suicaの「チャージ上限額」はなぜ2万円なのか(東洋経済オンライン、2019年2月14日、小林拓矢)
- 新たなコード決済サービス「teppay」が目指す世界とは?(ペイメントナビ、2026年3月5日)
- 高額電子移転可能型前払式支払手段とは(改正資金決済法)(サポート行政書士法人)
- 資金決済法等改正法案の内容(3)―高額電子移転可能型前払式支払手段に関する規制―(長島・大野・常松法律事務所)
- JR東日本が直面するSuica「2万円の壁」 teppayはつなぎ、解決には10年も(日経ビジネス、2025年12月9日。無料で読めるリード部分のみ)
- Suica利用は2万円というこれまでの当たり前を超えます(はてなブックマークのエントリーページ。ブックマーク数とコメント)
- Suicaの「チャージ上限2万円の壁」は壊せるのか ネットから消えない「高額決済をしたい」との声(ITmedia Mobile、2026年5月7日)
- JR東日本、新コード決済「teppay」を10月20日開始!(オレ的Androidまとめ、2026年10月6日)
- モバイルSuica「teppay」、10月20日開始。新コード決済、2万円超の買い物に対応(タビリス、2026年10月6日)
- 電子マネーとしての非接触ICカード(その2)Suicaの歴史・前編(Impress SmartGridフォーラム)
- Suica Renaissance Vol.1「teppay」篇 30秒ver.(JR東日本公式チャンネル。YouTube oEmbedでタイトルとチャンネル名を確認)
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