10/6 22:19 更新

サクラの枝の、
あの白い網

――北京は、ハチ11億匹で応じた

10/6 17:40 / 発信国:中国

北京が放った寄生バチ11億匹 退治する蛾のさなぎの中から見つかった

サクラやヤナギ、プラタナスの枝に白い網が張られ、中で毛虫が固まっている。日本でも6月から9月ごろに見かける、北米原産のアメリカシロヒトリの幼虫だ。この蛾が今秋、北京で大量に発生した。市は天敵の寄生バチを、今年だけで合わせて約11億匹放っている。

アメリカシロヒトリが葉を食べる植物は300種を超える。それでも木が枯れることはなく、人を刺すことも、病気を運ぶこともない。ただ、華中農業大学の周興苗教授は、幼虫が成長や脱皮、さなぎになるときに落とす毛くずで、人によっては皮膚にアレルギーが出ると説明している。

なぜ今年なのか

2025年から2026年の冬は、記録のある中で2番目に暖かかった。本来なら寒さで死ぬ越冬中のさなぎが、生き残った。雨期に入ってからの華北の降水量は、平年の同じ時期を62.5%上回った。木や草が茂り、幼虫の餌が増えた。

北京野生動物園は9月28日、来園者に幼虫を採ってもらう催しを始めた。受付で見分け方を教わり、手袋と箸、食品用の容器を渡されて園内を回る。10月5日までに2,278人が参加し、幼虫は34万匹を超えた(約50.9キロ)。催しは10月7日まで続く。採った幼虫は処分され、園の動物の餌には回らない。

ネットの評判

秋の公園の木立
写真はイメージ Photo by Meizhi Lang on Unsplash

小紅書(RED)に上がった催しの動画には、3万1,000を超える「いいね」が付いた。ある参加者は1日で約4,000匹、箱6つ分を採ってなお2位だった。その話に驚く声が出ている。新浪のまとめ記事は見出しで、100元余りの入園料を払って動物を見ないのか、と皮肉った。

1ミリのハチは、どこから来たのか

放たれているのは白蛾周氏啮小蜂(Chouioia cunea Yang)というハチだ。成虫は体長1ミリ余りで、針がないので人を刺さない。雌は腹の先の鋭い産卵管でさなぎの殻を破り、200〜300粒の卵を中に産む。かえった幼虫がさなぎの中身を食べるため、さなぎは蛾にならない。

では、どこから連れてきたハチなのか。出典に原産地の記載はなく、そこは確かめられなかった。中国林業科学研究院の首席科学者・楊忠岐氏が1983年、陝西省でアメリカシロヒトリのさなぎを採って研究室で育てたところ、中からこのハチが出てきた。標本を照合し、英国の専門家の鑑定も経て新属新種と決まり、1989年に発表された。

サクサン(柞蚕)という別の蛾のさなぎの中でハチを育て、その繭を木に掛ける。繭1個から5,000匹ほどが出てくる。北京の木に下がっている白い繭はこれで、市は取らないよう呼びかけている。

このハチは針がなく人を攻撃せず、環境を汚さず、人や家畜、鳥にも安全だと、北京の当局は説明している。ただしこのハチは、アメリカシロヒトリだけを相手にする虫ではない。楊氏らが2004年に『林業科学』で報告したところでは、ハチは1年に7回世代を重ねるのに対し、アメリカシロヒトリは2回、多い年でも3回しか現れない。空く期間、ハチはミノガやシャクガなど6種の蛾のさなぎで育つ。論文は、樹種を増やしてこれらの蛾を確保することが、ハチの数を保つ鍵だと結んでいる。害虫とされないチョウなどへの影響を調べた資料は、今回開いた出典の中にはなかった。

北京が放った11億匹は、アメリカシロヒトリのさなぎがない季節、別の蛾のさなぎの中で育っている。

出典

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