10/6 22:19 更新

もう見て見ぬふりを
しないでおこう

――30年前にそう決めた女性が、山で車を止めた

写真はイメージ Photo by Angelina on Unsplash

10/6 12:00 / 発信国:日本

あいみょんの命の恩人、12年後に判明 決め手は息子の小学校の創立記念日

シンガー・ソングライターのあいみょんが、12年前に奈良・生駒山で自分と友人を車に乗せてくれた女性と、9月25日放送のABCテレビ『探偵!ナイトスクープ』で対面した。相手は奈良県に住む57歳の女性と、その娘だった。映像は10月3日、同局のYouTubeチャンネル「ナイトinナイト」で公開された。

山道で約7時間、止まった車は1台

道に迷ったのは、大阪・梅田で路上ライブをしていたころだ。友人の女性と2人で、奈良の生駒山上遊園地を目指して歩き出した。「すぐ行けるって思ってたんですよ。地図とか見たら。やけど、多分、スタートから道間違えてて…」と番組で話している。

歩いても遊園地に着かず、携帯の電波も届かない。山にいた時間は約7時間になった。最後の手段のヒッチハイクで、車が1台止まった。運転していたのは母親で、あいみょんの記憶では幼稚園ぐらいの女の子が同乗していた。母親は事情を聞いて、2人を遊園地まで乗せていった。かけられた言葉を、あいみょんは「『何してんの?こんなとこで』みたいなこと言われた気がします」と振り返る。

5月22日の放送では、この女性は見つからなかった。あいみょんは車種も相手の特徴も覚えていない。2人がヒッチハイクをした道は、遊園地へ行くのに通行料がかかり、地元の人はめったに通らないと分かった。手がかりは尽き、調査は異例の継続となった。

「ただのファンに会わせるわけにはいかない」

放送後、奈良県の57歳女性から番組に連絡が入った。12年前、遊園地にたどり着けずに困っていた若い女性2人を送り届けた覚えがある、という。同乗していた娘も「絶対、ウチや」と話した。

曲がりくねった山道
写真はイメージ Photo by Pascal Debrunner on Unsplash

それでも、調査にあたった永見大吾探偵は疑った。女性の話は、5月の放送を見れば言える範囲に収まっていた。娘は当時中学1年生で、あいみょんの記憶の「幼稚園ぐらいの女の子」と年齢が離れていた。女性側に当時の写真もない。永見探偵は「ただのファンに会わせるわけにはいかない」と、本人かどうかを確かめにかかった。

決着をつけたのは、番組が5月の放送で伏せていた点だ。女性は、その日は息子も車に乗っていたと明かした。これがあいみょんの友人の証言と合った。さらに女性は、12年前のその日が息子の小学校の創立記念日だったと話した。創立記念日は毎年同じ日付になる。永見探偵とあいみょんが同時に日付を示すと、どちらも2014年5月20日だった。

恩人と認められた母娘は、あいみょんの前に呼ばれ、ハグを交わした。永見探偵は母娘に「腰を直角にして謝りました」と報告した。あいみょんは「あのとき、山で遭難したら、私も“あいみょん”になれてなかったと思います」と話した。

ネットの評判

公開された動画のコメント欄には、番組をたたえる声が並ぶ。「探偵ナイトスクープの課題解決能力はホンモノやね」。恩人の女性の話に触れて「お母さんの話聞いて泣いたわ」と書く人もいる。

女性が車を止めた理由

女性には、見知らぬ2人を乗せた理由があった。30年ほど前、大阪・梅田で、苦しそうに座り込む男性を見かけたが、そのまま通り過ぎた。気になって引き返すと、男性は倒れ、救急隊が心臓マッサージをしていた。

「何であの時、見て見ぬふりして行ってしまったんだろう?」。女性はそう悔やみ、「もう見て見ぬふりをしないでおこう」と決めたという。

梅田で一度通り過ぎた後悔から十数年後、生駒山の山道で、女性は迷った2人のために車を止めた。

出典

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