10/9 17:49 更新

名前が読めんのよ
3行で頼む

――ノーベル賞の速報に、掲示板が

写真はイメージ Photo by Raghav Bhasin on Unsplash

10/9 12:46 / 発信国:日本

ノーベル化学賞の「硤合」は全国に約30人の名字、Wikipediaは1日58万回

「硤合憲三」。10月7日の夜、この名前が速報で流れた。読み方は、そあい・けんそう。

スウェーデン王立科学アカデミーは7日、2026年のノーベル化学賞を、東京理科大学名誉教授の硤合憲三さん(76)と、フランスのパリ・サクレー大名誉教授のアンリ・カガンさん(95)に贈ると発表した。授賞理由は「不斉有機合成における非線形効果と自己触媒作用の発見」。日本人の受賞は、個人では31人目になる。

速報を追う掲示板では、名字でつまずく書き込みが出た。

全国に約30人の名字

5ちゃんねるの「なんでも実況(ガリレオ)」には「名前が読めんのよ」という書き込みがあった。スレッドのタイトルは「【超絶速報】ノーベル化学賞を東大名誉教授の硤合憲三氏が受賞!」。所属は東大ではなく、東京理科大学である。

なぜ、そんなに読めないのか。名字由来netによると、「硤合」は全国に約30人しかいない。全国順位は5万4254位。広島県に約20人、埼玉県に約10人で、由来は「詳細不明」とされる。硤合さんは、その広島県生まれだ。30人。小学校の1クラス分である。

そして人は、読めないものを調べる。Wikipedia日本語版の「硤合憲三」のページは、10月1日から6日まで、1日6回から15回しか見られていなかった。それが7日は58万3869回。前日の約3万9千倍だ。

開いた辞典のページ
写真はイメージ Photo by Romain Vignes on Unsplash

受賞の中身は、分子の「左右」

では、肝心の研究は何なのか。

同じ原子でできているのに、右手と左手のように重ね合わせられない分子がある。鏡像体だ。薬や香料では、どちらの形かで効き方が変わる。だから片方だけを作りたい。ところが、試験管の中では両方が同じ量できてしまう。

ここが、ややこしい。硤合さんが1995年に論文で示したのは、不斉自己触媒反応を使う道だった。できたものが、次を作る側に回る。だから、最初はごくわずかしかなかった左右の差が、反応を重ねるうちに片方へ大きく傾く。最後は、ほぼ片方だけになる。これが「硤合反応」と呼ばれている。片方の形だけを実際に作って示したのは、2003年だった。

生き物を作るアミノ酸などの分子は、なぜか片方の形にだけ偏っている(ホモキラリティ)。硤合反応は、この偏りがどこから生まれたのかを説明する有力なモデルとして評価された。薬づくりへの活用も期待されている。

本人は、知らせをどこで受けたのか。電話が鳴ったとき、硤合さんは「家の近くに買い物に出ていた」という。そして「このようなうれしい知らせを受けて、大変興奮しています。人生で最も高鳴る日のひとつです」と話した。

ネットの評判

書き込みは、研究の中身にも向かった。「何回聞いてもどういう研究かさっぱりわからん」「3行で頼む」。「自己触媒てなんやねん」というツッコミもある。「日本人らしき人が受賞しました」という書き込みまであった。一方で「この人76歳やぞ」と、年齢に目を留める声も出ていた。

名前のページが58万回見られた同じ日、「硤合反応」のページは5万8315回だった。名前の、10分の1である。

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出典

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