10/9 17:49 更新

隣の駅のマックは
50円安い

――ある客が、レシートを見て

写真はイメージ Photo by Shaafi Ali on Unsplash

10/7 15:25 / 発信国:米国

AIで値付けしていると米国で提訴、日本のマックの値段を分けているもの

駅前のハンバーガー店で、いつもと同じセットを頼む。レシートを見て、先週別の店で買ったときより高いと気づく。その値段を、店の売上の記録を読み込んだ機械が決めていたとしたら――。

舞台は米国、約1万4000店が対象

これは日本の話ではない。米国で、マクドナルドがAIを使ってメニューの値段を違法に調整しているとして、イリノイ州の利用者が2026年10月2日、シカゴの連邦地裁に集団訴訟の認定を求めて提訴した。ロイターが伝えた。

訴状は、マクドナルドが独立した加盟店と共謀し、非公開の取引データで学習させたアルゴリズムで価格を調整したことが、反トラスト法(米国の独占禁止法)に違反すると主張する。問題とされた仕組みは機械学習を使い、約1万4000店舗で毎日数百万件の取引を分析しているという。原告側の弁護士ラーク・ターナー氏は、マクドナルドが膨大なデータとフランチャイズの仕組みを使って消費者から小銭をかすめ取っている、と述べた。

マクドナルドは10月5日の声明で、原告の主張は憶測に基づき実態を理解していないと反論した。「ビッグマックやその他のメニュー商品の価格を決めているのはAIではない」とし、価格は加盟店が独自に決めており、価格推奨のツールを使うのは業界で一般的だとしている。集団訴訟として認定されるかは、まだ決まっていない。

日本の値段を分けているのは、賃料と人件費

では、日本のマクドナルドの値段は何で決まっているのか。会社の説明は「立地」である。

繁華街に並ぶ飲食店の看板
写真はイメージ Photo by ayumi kubo on Unsplash

日本マクドナルドは2023年6月19日のニュースリリースで、同年7月19日から都心部の184店舗(全国約3000店の約6%)に「都心型価格」を適用すると発表した。理由に挙げたのは「賃料、人件費等の店舗運営コスト」で、負担が特に大きい東名阪エリアの一部が対象だと説明している。

公式サイトは今も、店を立地で分けていることを明記している。空港や駅、遊園地、サービスエリアにある店を「特殊立地店舗」、それ以外で通常と価格が異なる店を「特定店舗」と呼び、どの店が該当するかは店舗情報のページで一覧になっている。メニューのページにも「特殊立地店舗・特定店舗およびデリバリーでは価格が異なります」と注記がある。ビッグマックの単品価格は「¥500~」。この「~」が、店による差を表している。

日本マクドナルドは2026年2月24日に、翌25日から標準店舗の約6割の商品を10〜50円値上げすると公表した。理由は原材料費やエネルギーコスト、人件費の上昇で、ここでも「店舗の所在地域や立地条件によって、標準店舗とは店頭価格や改定幅が異なる店舗(特殊立地店舗、特定店舗)がございます」と断っている。

公表されている限り、日本で値段を分けているのは客の支払い意思ではなく、その店の賃料と人件費である。日本マクドナルドが価格の決定にAIを使っているかどうかは、公式の発表に記載がなく、出典では確かめられなかった。

ネットの評判

米国側の声は、技術者が集まる掲示板ハッカーニュースに出ている。AIによる値付けを報じたCNBCの記事を取り上げた投稿は、62点・38件のコメントを集めた。ハンバーガーは費用のはっきりした単純な商品だから、値段を動かすのは客から搾り取るだけだ、という批判が目立つ。飲食店にはハッピーアワーのような時間帯別の値引きが前からあり、客を分散させるのは理にかなっているという反論もある。今回の提訴そのものを扱った投稿は、2点・2件のコメントにとどまった。

スマートフォンで地図を見る手元
写真はイメージ Photo by Murat Ts. on Unsplash

日本では、値上げへの悲鳴が先に来た。2026年2月の値上げを伝えたLIMOは、SNSに「もはやマクドナルドは高級品」「ビッグマック500円のインパクトが強すぎる」という声が出たと紹介している。

関心が「どの店が安いか」に向いたのは、その半年後だ。2026年9月、ビッグマックの値段を全国の店ごとに地図にした「マクドナルド価格帯マップ」が話題になった。ITmedia NEWSによると、値段は通常500円、準都心B520円、準都心A530円、都心550円、特殊立地600円の5段階に分かれている(同サイトの独自の分類)。やじうまWatchも、近くの店同士でも差があると伝えた。

この地図は、マクドナルドが出したものではない。氏名を明かしていない国内在住の個人が、約10日周期で店を巡回して値段を調べ、独自に分類したものである。

出典

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