10/9 17:49 更新

ノンアルの人も、
受け入れたい

――ある下戸のバーテンダーが、Xに

写真はイメージ Photo by Anil Sharma on Unsplash

10/7 13:20 / 発信国:日本

ノンアルの客は1杯で帰る 下戸のバーテンダーが説明した、店側の事情

2026年10月6日の午前3時13分、バーテンダーの「ム」(@ywhd_matsu)さんがXに書いた一文が広がった。「ノンアルの人も受け入れたいというのは下戸でバーテンダーやってるから死ぬほどわかるんだけど、店を続けていると『なぜそのような店がほとんど存在しないのか』がよくわかってくる」。本人も酒が飲めない。それでも、ノンアルコールの客だけでは店が続かないと分かってきた、という話である。投稿と返信をまとめたページ(Togetter)は、10月7日時点で閲覧数5万5746、はてなブックマーク254件を集めている。

本誌は10月6日、酒を飲まない理由を聞かれた若者が「わざわざパフォーマンスを落とす理由がないんですよね」と答えた話題を伝えた。飲まない理由は、健康や金銭から、自分の働きの質へと移っている。今回広がったのは、その客を迎える店側の計算である。

酒を飲む客は、1杯で止まらない

投稿者は、理由を続けて書いている。ノンアルコールの客は「カフェ感覚で来るから1杯で平気で帰るし、そもそも常連化しない場合がほとんど」。採算を合わせるには「1杯1500円+チャージぐらい取らないと元取れない」という。その値付けで通ってもらうのは、現実的ではない。

バーのカウンター席
写真はイメージ Photo by Joseph Sung on Unsplash

では、なぜ酒を飲む客は何杯も頼むのか。まとめのコメント欄では、酒が満腹感を鈍らせるからだという指摘が出た。これには研究がある。米インディアナ大学医学校の研究チームが、2015年に医学誌『Obesity』で実験を報告している。標準体重の女性35人に点滴でアルコールを入れたところ、その後に食べた量は、プラセボを入れたときより平均7%多かった。食べ物のにおいに対して、脳の視床下部がより強く反応していた。食前の一杯で食が進むことを「アペリティフ効果」という。研究は、その仕組みを脳の反応から説明したものだ。ただし参加者の3分の1ほどは、逆にプラセボのときのほうが多く食べた。

酒を飲まない客は先に満腹になり、追加を頼まない。コメント欄に並んだのは、そういう指摘である。

ネットの評判

はてなブックマークでは、投稿に同意する声が目立つ。あるユーザーは「誰を『客にしないか』は商売でとても重要だしね」と書いた。別のユーザーは「居酒屋でノンアルは理解できるけど、バーに行ってわざわざノンアル頼むのはさすがに無駄を感じる」としている。Togetterのコメント欄には、飲む客と飲まない客で支出が10倍ほど違うという指摘も並んだ。

批判の向け方をいさめる声もある。バーという商売に汚い言葉を投げつける人がいるという指摘や、気に入らないものを何でも「依存症ビジネス」と呼ぶ風潮への疑問が出た。夕飯を酒ありきで設計している飲食店が、特に和食の店に多すぎるという書き込みもあった。Togetterのコメント欄では、料理で稼げばいいという案も出たが、食材の仕入れと廃棄、原価と利益率の違いがあり、酒ほど手軽ではないという方向に落ち着いた。

投稿者が手本に挙げた、梅田の店

投稿者は、成り立つやり方を一つだけ挙げている。「梅田のプリ機のノンアルバーは完全予約制かつ時間制なのがあまりにも正しい」。

大阪・梅田のHEP FIVEの9階、ゲームセンターの一角にあったノンアルコール専門バー「JANAI GAMES」のことだとみられる。「故障中」の貼り紙があるプリクラ機に入り、中のパネルに暗証番号を打ち込むと、扉が開く。出すものはすべてノンアルコールで、カクテルは1杯1300円と1400円だった。

ただし、HEP FIVEの公式サイトは、この店を紹介した記事の冒頭にこう添えている。「※『JANAI GAMES(ジャナイゲームズ)』は2026年2月末で閉店いたしました。」食べログの店舗ページも、休業期間が未確定で移転・閉店の事実確認ができないとして、掲載を保留している。閉めた理由は、どの出典にも書かれていない。

バーテンダーが「あまりにも正しい」と書いた店は、その投稿の7か月前に、すでに閉まっていた。

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出典

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