10/6 22:19 更新

土下座を求めるのは
カスハラ

――ANAとJALが、2年前に

写真はイメージ Photo by Damian Park Kim on Unsplash

10/6 15:37 / 発信国:中国

機内で乗務員が2、3回ひざまずいた中国 日本では機長が「禁止命令」を出せる

中国東方航空のMU6741便で、客室乗務員が通路でひざまずいた。2026年9月28日の夜、合肥発大連行きの機内で、飲み物を配るカートが眠っていた男性客の肘に触れたあとのことだ。同社は10月3日、この男性の行為が機内の秩序を乱したとして公安機関に通報し、男性への運送サービスの提供を止めたと発表した。

東方航空が9月30日に出した最初の説明では、乗務員はその場で何度も謝り、男性の状態を確かめた。男性は興奮し、粗野で過激な言葉を続け、乗務員を蹴ると脅し、着陸後に病院へ付き添うよう求めた。乗務員は驚いた、とある。着陸後、医療スタッフが男性を診たが、目立った外傷や腫れはなかった。男性は地上職員の付き添いを断り、自分で帰ったという。

機内を撮った乗客の張さんは、取材に「乗務員は2、3回ひざまずいた。かなり長かった」と話した。ぶつかった場所は皮膚も破れず、出血も腫れもなく、乗務長が氷袋を持ってきて当てたという。張さんが9月28日の夜に撮った動画は、翌29日に広く出回った。

なぜひざまずいたのかは、分かっていない。東方航空が出した二度の説明には「ひざまずいた」という言葉自体がなく、「何度も謝った」とだけ書かれている。誰が土下座を求めたのかも、発表されていない。

10月3日、同社は調査を終えたとして二度目の説明を出した。男性(欧某某と表記)の行為が機内の秩序を乱し、社員の人格の尊厳と職務上の権益を著しく侵害した疑いがあるとして、公安機関に正式に通報したという。あわせて旅客運送の管理制度に基づき、この男性への運送サービスを「暫停」した。一時停止を意味する語で、期間は示していない。乗務員には見舞い、心のケア、法律面の支援を行うとした。

同じ日、人民日報は評論を載せ、客が金を払ってサービスを買ったことは、人を好きに使ってよいという意味ではないと書いた。事を収めるために無条件に引き下がれば、理不尽な側がさらに押してくるだけだとも指摘した。

日本の機内では、誰が止めるのか

空港のチェックインカウンター
写真はイメージ Photo by Edwin Petrus on Unsplash

日本の便で同じことが起きたとき、乗務員が謝り続ける以外の手がある。

航空法は、機内でしてはならない「安全阻害行為」を8つ挙げている。3番目が「乗務員の業務を妨げること」で、定期航空協会はその中身を暴言・威嚇・性的嫌がらせと説明している。機長はその場で禁止命令を出せる。従わずに続ければ、航空法第150条で50万円以下の罰金がある。2004年1月15日に始まった仕組みだ。

会社の側も線を引いている。ANAグループとJALグループは2024年6月28日、「カスタマーハラスメントに対する方針」を共同で策定した。受け入れない行為を9つに分け、「過剰な要求」の例として「家まで謝りに来い」「土下座しろ」といった実現できない要求を挙げている。会見でANAの宮下CS推進部長は「うちの従業員は毅然と対応するけれども、別の航空会社に行ったときに、どこかの従業員が我慢するような、そんな業界ではいけない」と述べた。悪質な場合の警察への連絡も、これまでどおり行うとした。

ただ、日本の機内が穏やかだから紙に書いたのではない。2023年度に報告されたカスハラは、両グループでそれぞれ約300件、合わせて約600件ある。JALの上辻部長は会見で「潜在的には数としては上がってくるのではないか」と話した。日本にも、同じことをする客はいる。違うのは、その場の判断を乗務員ひとりに預けないところだ、と筆者は読む。

ネットの評判

動画が出たあと、微博では関連する話題が検索の上位に並んだ。多いのは、なぜ乗務員がひざまずく必要があったのかという声で、サービスは職務であって恥を忍ぶことではない、という言い方も出た。通報と運送の停止を支持する声がある一方、ひざまずく前にその場で止めるべきだったという批判もある。撮影した張さんは、別の発信者に当事者の乗客だと誤って名指しされ、その誤情報が検索の人気順で2番目に入り、2500万回以上読まれた。張さんは電話が鳴り止まなくなったとして動画を消し、10月3日の取材には調査に協力すると答えている。

机の上に置かれたスマートフォン
写真はイメージ Photo by Matteo Fusco on Unsplash

東方航空が男性への運送を止めるまで、5日かかった。日本の機内では、乗務員への暴言と威嚇は、機長がその場で禁止命令を出せる8つの行為に入っている。

出典

よく読まれている記事

こちらの記事も

← 一覧へ戻る