10/6 22:19 更新

売れません。でも、
特許のお代は払います

――米クアルコムが、米政府が禁輸にした相手に

写真はイメージ Photo by Maxence Pira on Unsplash

10/6 15:48 / 発信国:中国

クアルコムが華為の米国特許を買う 禁輸7年で変わった向き

米クアルコムが、華為技術(ファーウェイ)の米国特許を買う。両社は10月5日、深圳で、5G、コンピューティング、AI、ネットワークの特許を互いに許諾し、クアルコムが華為の米国特許の一部を買い取る複数年契約を結んだと発表した。完了には規制当局の承認が必要だという。

町工場が、部品を売ってくれなくなった大手から、特許の使用料を受け取るようになった――という図に近い。

なぜ払う側に回ったのか

中国のIT之家は、両社の間で5G技術を含む特許許諾契約が結ばれたのは今回が初めてだと伝えている。新浪が転載した微博の解説は、華為が5Gの標準必須特許を世界で最も多く持つため、クアルコムはFRAND(公正・合理的・非差別的)原則に沿った交渉に戻るしかなかった、と見ている。

ブルームバーグによると、クアルコムが許諾を受ける特許には、華為の新しいチップ製造技術「LogicFolding(論理折りたたみ)」を支えるものも含まれる。

禁輸の7年

IT之家によると、華為がクアルコムに特許料を初めて払ったのは2001年である。

2019年5月16日、米商務省は華為と26か国の非米国法人68社をエンティティ・リスト(禁輸リスト)に加え、米国の輸出管理がかかる製品や技術を許可なく渡すことを禁じた。

2020年7月29日、クアルコムは華為との係争を終え、同年1月1日以降の販売を対象とする長期の特許許諾契約を結んだと発表した。2020会計年度第4四半期の見通しには、和解に基づく未収分と3月期・6月期分として約18億ドルを見込んだ。払うのは華為の側だった。

同年11月、クアルコムは一部の4G製品を売る許可を得た。しかし、この許可は2024年5月7日に取り消された。トレンドフォースによれば、対象はクアルコムの携帯電話向けと旧来の4Gネットワーク用チップ、インテルのノートパソコン向けチップである。2020年の特許許諾契約も期限切れとなった。ライトリーディングは2025年2月、更新交渉は続くが、クアルコムは収益見通しに織り込んでいないと報じた。

2026年5月25日、上海のIEEE学会ISCASで、華為の半導体部門を率いる何庭波がLogicFoldingを発表した。2枚のダイを1.5マイクロメートルの間隔で縦に接合し、従来の平面設計よりトランジスタ密度が55%高いという主張である。ASMLのEUV(極端紫外線)露光装置が使えない分を設計で補う狙いだが、数値の第三者検証はない。最初に載せたチップは麒麟(Kirin)9050 Proである。

ネットの評判

中国の微博では歓迎と皮肉が混ざる。「高通(クアルコム)が安卓(アンドロイド)で稼いだ金を、そのまま華為に納める」という書き込みがあり、累計69億ドルを今回の支払額と取り違えた投稿も目立った。

チップは、売れないまま

金額は、両社とも公表していない。華為は、契約が完了すれば全特許許諾契約の累計額が69億ドルを超える見込みだとしている。ブルームバーグによれば、この契約は、1億3,390万ドルを超える取引を対象とするハート・スコット・ロディノ法に基づき、米連邦取引委員会の審査を受ける。

基板に載った小さなチップ
写真はイメージ Photo by Vishnu Mohanan on Unsplash

「クアルコムが初めて純支払い側になった」という読み方はブルームバーグと中国メディアのもので、両社の発表文にはない。クアルコムのジョン・ハンは、この契約について、「クアルコムの5G技術の主導的地位と、5G標準必須特許の許諾事業の成功」を業界が再確認したものだと述べている。

微博の解説は、合意が知的財産の許諾にとどまり、チップの供給制限は解けていないと念を押していた。2024年5月に取り消された輸出許可は、戻っていない。

クアルコムは、米政府が売ることを禁じたままの相手に、金を払う。

出典

よく読まれている記事

こちらの記事も

← 一覧へ戻る