ゆるやかなズームのほうが、はるかに本物らしく見える
Meta AIが作者に返した助言
写真はイメージ Photo by Misbahul Aulia on Unsplash
サルが犬を救う感動動画はAI製 作者が「Meta AIで作った」と認める
洪水の中を歩くサルが、水に浮かぶ犬を抱え上げ、丸太の上に乗せる。この10秒の動画が2026年9月27日にXへ投稿され、数百万回再生された。添えられたタイ語は、Snopesの英訳では「助かるなら、一緒に助からないとね」に当たる。
ファクトチェック機関のSnopesは、この動画を「偽(Fake)」と判定した。10月5日の更新で、作った本人が、MetaのAIツールを使ったと認めたことも加わった。
広がった時期も重かった。タイでは9月中旬からの大雨が続き、10月5日時点の死者は31人、影響は350万人以上に及んでいた(AP通信、タイ防災軽減局)。感動の実話として読まれる条件は、そろっていた。
検出ツールの結果は、そろわなかった
Snopesが挙げた根拠は地味だ。動画は毎秒24フレームで、長さはちょうど10秒。AIが作る動画によくある長さだ。もっと長い版も見つからなかった。犬が丸太に落ちる音と鳴き声も、映像と合っていない。
犬の右前脚が丸太から持ち上がる、5秒から6秒のあたり。Snopesが00:05:13と示す、たった1フレームだけ、その脚が細く鋭い形に変わる。前後のフレームに、その形はない。7秒を過ぎてカメラが寄ると、青い物がいくつか現れる。がれきの左側に出てくる、ヘアゴムに見える水色の小物もその一つだ。
道具は、当てにならなかった。SnopesはHive、Nvidia、Pangram、TencentのZhuque、ZeroGPTの5つにかけたが、結果はそろわなかった。
AIだけで作った動画なら、傷つく動物はいない。それでも、本物の救助と作り物の区別がつきにくくなり、救助をしている団体への寄付に響きうる。動物保護団体Lady Freethinkerのケリー・バートン=ギャリー氏は、Snopesにそう述べている。
作った人は、メールで認めた
確認された最も古い投稿は、「AI content」の表示が付いたタイ語のFacebookページ「เรื่องร้อนสตอรี่」(Hot Story)にあった。メールで尋ねると、このページの利用者は、MetaのAIツールで作ったと認め、プロンプトのやりとりの一部も見せた。なぜ作ったのかは、Snopesの記事に書かれていない。
残っていたのは、演出の相談だった。1回の寄りで見せるのではなく、ゆるやかなズームにする。その選び方について、Meta AIは「はるかに本物らしく見える」(訳)と答えていた。
どう見せれば本物らしくなるかを教えたのは、動画を作ったAIだった。そして偽物だと確定させたのは、5つの検出ツールではなく、作った本人のメール1本だった。
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