10/6 22:19 更新

草むしり検定に、2度落ちている

興収158億円の映画の主人公

10/5 16:16 / 発信国:日本

ちいかわ、資格試験に2度落ちている 興収158億円の映画が大人に刺さる理由

アニメ「映画ちいかわ 人魚の島のひみつ」が2026年7月24日に公開された。原作はナガノさんの「ちいかわ」で、公式サイトは「待望の初映画化」とうたっている。配給は東宝。公開から9月20日までの59日間で興行収入158.4億円、観客動員1085.7万人。興行通信調べの2026年公開作品の興行ランキングで1位だと、9月21日に報じられた。

丸くて白い、ほとんどしゃべらない生き物の映画である。見た目だけなら完全に子ども向けだ。ところが、この作品を論じた記事には「シビア」「社会の理不尽」という言葉が並ぶ。理由は、ちいかわたちの暮らし方にある。

彼らは働いている。草むしりやシール貼りで報酬を得て、その日の食事にたどり着く。しかも草むしりには「草むしり検定」という試験があり、合格すれば報酬が上がる(WEBザテレビジョン)。かわいい顔で、資格手当の話をしているのだ。

2度落ちた

ここで大人が黙る。主人公のちいかわは、この検定に落ちている。1度目はハチワレと一緒に受けた2020年10月の回で、合格発表に番号が載ったのはハチワレだけだった。2021年2月の回では1人で受け、また落ちて、目に悔し涙を浮かべる。仕事のあとは机に向かってウトウトする。ハチワレが目の前で「しょうゆ味の素がけコンビーフ丼」を食べていても、眠くなって勉強できなくなるからと、卵白だけを食べた(リアルサウンド)。

素手で草むしりをしている様子
写真はイメージ Photo by Aditi Gautam on Unsplash

コラムニストの徳重龍徳さんは、ハチワレだけが合格するこの場面で泣いたと書いている。落ちたのが悲しいからではない。「喜びたいのに、祝いたいのに、相手の感情を思い、できない」場面を描いたうえで、それでも友情を美しく描いたからだという。徳重さんは45歳、自分を「ちいかわおじさん」と呼び、推しはそのハチワレだ。子ども向けなら2度目で受かるところを、この作品は「努力は必ずしも報われないと伝える」とも、徳重さんは書いている(ダイヤモンド・オンライン)。

セリフは「ワァ」「あわ…」くらいしかない。説明されない分、見る人が自分の事情を勝手に当てはめてしまう。WEBザテレビジョンは、こうした余白が「大人の知的好奇心まで刺激している」と書いている。

では、ちいかわは結局どうなったのか。受かった。2025年7月3日に公開された回で、3度目にして草むしり検定5級に合格した(リアルサウンド)。5級である。1度目の受験から4年9カ月かかっている。

草むしり検定5級に4年9カ月かけた主人公の映画が、2026年の興行収入1位である。

出典

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