10/6 22:19 更新

肩書は、
もう付けません

――ある国の外務省が、隣の国の首相に

写真はイメージ Photo by grey wight on Unsplash

10/3 11:27 / 発信国:日本/中国

「首相」が付かなくなった 中国外務省が変えた高市氏の呼び方

取引先との打ち合わせで、相手がこちらを呼ぶ言葉だけが変わったとする。先月までは名字に「社長」が付いていた。今月は名字だけになる。契約の中身は一行も動いていないのに、呼び方が先に動いている。そういう場面を思い浮かべてほしい。

これは日本の商談の話ではない

舞台は中国外務省の記者会見場である。共同通信は2026年10月2日、香港紙の星島日報の報道として、郭嘉昆副報道局長が9月30日の記者会見で高市政権を批判した際、「日本首相」の肩書を付けずに「高市早苗」と呼んだと伝えた。中国外務省が公開する会見録にも、肩書のない表記がそのまま載っている。

きっかけは日本側の発言だった。小泉進次郎防衛相は9月28日のBSフジの番組で、安全保障関連3文書の改定に関し、核兵器や原子力潜水艦の保有について「タブーなく、決め打ちせず、議論することすら認められないのは私の危機感とはちょっとずれている」と述べた。

9月30日、この発言を問われた郭氏は、日本が核拡散防止条約における非核兵器国の締約国である点を挙げ、核を持つかどうかは日本が議論したいかどうかで決まる話ではないと答えた。会見録では、防衛相の発言を条約と戦後の国際秩序に対する重大な挑発だとも批判した。

その答弁の中に「高市早苗今年2月重申坚持『无核三原则』」という一文がある。高市氏が今年2月に非核三原則の堅持を重ねて述べた、という意味だ。ここでも肩書は付かない。星島日報は、外務省が言葉遣いに注意を払っており、言い間違いとは考えにくいとして、意図的な扱いだと分析した。同紙は、関係改善にはつながらないとみて、11月に中国で開くAPEC首脳会議にあわせた日中首脳会談の実現は難しいとした。

呼び方だけが、半月で三通りになった

台湾の聯合報は、呼び方の推移を並べている。9月15日は「日本首相高市早苗」と肩書付き。9月23日は名前を出さず、日本の現政権という言い方。そして9月30日が、肩書なしの「高市早苗」である。半月で三通りになった。

肩書が落ちたのは今回が初めてではない。林剣副報道局長は8月17日の会見で、8月15日の全国戦没者追悼式での高市氏の式辞を「高市早苗」と名前だけで取り上げた。反省と教訓を避けて侵略の責任を曖昧にしたと批判した。批判を強める場面で肩書が消える、という並びが二度続いたことになる。

ここからは見方になる。日本の会社では、相手の名刺の肩書は読むのに、打ち合わせが終わるまで名前を一度も呼ばないことがある。呼び方は中身ではない、という感覚なのだろう。中国外務省は、その逆を使った。核をめぐる反論と、肩書の切り落としを、同じ答弁の中に並べて置いている。名前の呼び方は、中身と関係なく距離を動かす。近づけるのにも、突き放すのにも使える。

ネットの評判

共同通信の記事が配信されたYahoo!ニュースのコメント欄には、10月3日時点で2700件を超えるコメントが付いた。とくに共感を集めたのは中国の対応への批判で、相手国の首相を呼び捨てにする国とどう外交をするのかという書き込みに、8700件を超える共感が付いた。次に多いのは、呼び捨てを高市氏の評価に読み替える声だ。これだけ中国に嫌われるのは国益に沿った姿勢の証しだという書き込みに、6900件を超える共感が集まった。関係が冷えること自体を心配する声もあるが、目立つ位置には出ていない。

出典

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