酒どころの『1位』は、
だれが決めているのか
――90を超える産地を採点した、ある旅行サイト
写真はイメージ Photo by Jo Leonhardt on Unsplash
ワイン産地の欧州1位はスロベニア イタリアもスペインも下に並んだ
スロベニア北東部のシュタイエルスカが、2027年の「欧州最高のワイン地域」に選ばれた。選んだのは国や国際機関ではなく、European Best Destinationsという旅行情報サイトだ。90を超える産地を7つの項目で比べ、最後に12地域が残った。その1位がシュタイエルスカで、点数は20点満点の19.5点だった。
発表は2026年10月1日。この地域の街マリボルで、サイトの代表マクシミリアン・ルジューン氏が賞を渡した。2位はイタリアのランゲ・ロエーロ・モンフェッラート、3位はスペインのリベイラ・サクラ。ルジューン氏は、今の旅行者が求めるものとして「本物であること、ひときわ美しい景色、何百年ものワインの文化」を挙げた(英文を訳した)。
地域をまとめる団体には、41の市町村が入る。目玉は、マリボルの中心に立つ世界最古のブドウの木だ。中世の終わり、トルコの侵攻にさらされていたころに植えられた。樹齢は400年を超え、今も実をつける。ギネス世界記録にも載っている。プトゥイには1917年の古酒が残っていて、スロベニアに残るものではいちばん古い。スロベニアで初めてのスパークリングワインは、1852年にこの地域のゴルニャ・ラドゴナで生まれた。
これまでは、どこが1位だったのか
過去の受賞地域を探した。ところが、このサイトのワイン地域の順位は2027年版しか見つからない。検索しても、別の年の同じ部門のページは出てこない。過去にどこが選ばれていたのかは、確かめられなかった。
代わりに出てきたのは、別の部門だ。同じサイトの「欧州最高のワインの首都2026」の1位は、マリボル。シュタイエルスカの街である。2位はフランスのボルドー、3位はポルトガルのポルト。同じ年、同じ地域のプトゥイが「文化遺産の町2026」の1位になっている。
ここが、ややこしい。ワインの首都2026は、120を超える産地を26項目で採点したとある。ワイン地域2027の7項目とは、ものさしが別だ。一つのサイトが、部門を変えながら同じ一帯に賞を重ねている。

シュタイエルスカは、2026年の欧州の観光地を選ぶ投票でも3位に入った。票は10万1907。こちらはサイトに登録した人が入れるネット投票で、採点とは決め方が違う。
日本酒で同じことをやったら
では、日本酒で同じことをやったら、観光のお金は増えるのか。
世界に通じる看板は、日本にもうある。2024年12月5日、「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録された。こうじ菌の働きを使う日本の酒造りで、原型は500年以上前にできたという。日本酒、本格焼酎、泡盛が対象だ。
売れている額も分かっている。日本酒造組合中央会が2026年2月6日に出した集計では、2025年の1月から12月までの輸出額は約459億円。売った先は過去でいちばん多い81か国で、国別の1位は中国の約133億円だった。
一方、観光庁のインバウンド消費動向調査では、2026年4月から6月の3か月で、訪日客が日本で使った金額は2兆5096億円。1人あたり24.4万円である。
日本酒を1年かけて世界に売った約459億円は、訪日客およそ19万人が日本で使う金額にあたる。
- Štajerska – Best Wine Region in Europe 2027
- Štajerska named Best Wine Region in Europe 2027(スロベニア政府観光局)
- Best Wine Regions in Europe 2027(European Best Destinations)
- Best Wine Capitals in Europe 2026(European Best Destinations)
- Best Cultural Heritage Towns in Europe(European Best Destinations)
- Best Places to Travel in 2026(European Best Destinations)
- Štajerska 3rd Best Destination in Europe 2026
- World's Oldest Grapevine(スロベニア政府観光局)
- These are the best wine regions in Europe, with Slovenia claiming top spot above France and Italy(Euronews)
- ユネスコ無形文化遺産 伝統的酒造り特設サイト(日本酒造組合中央会)
- 伝統的酒造り(文化遺産オンライン・文化庁)
- Traditional knowledge and skills of sake-making with koji mould in Japan(ユネスコ)
- 2025年度日本酒輸出実績(日本酒造組合中央会、2026年2月6日)
- インバウンド消費動向調査2026年4-6月期(1次速報)の結果について(観光庁)
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