10/6 22:19 更新

あの靴下、洗ってもヘタらない
らしいよ

――ある投稿が、6万人に

写真はイメージ Photo by Mockup Graphics on Unsplash

10/2 17:54 / 発信国:日本

ファミマの靴下と下着、「質が良い」の根拠を探すと

429円の靴下と、880円のボクサーパンツ。ファミリーマートの衣料品が、10月2日未明に公開されたTogetterのまとめで広く読まれている。もとは、食品メーカー勤務と自称する人物の投稿だ。ユニクロで買っていた下着と靴下の劣化が早いので、同じ価格帯で代わりを探したらファミリーマートのプライベートブランドが良かった、という。閲覧数は公開から半日ほどで約6万に伸びた(10月2日午後時点)。

売る側は、何を書いているか

ブランド名は「コンビニエンスウェア」。デザイナーの落合宏理氏がクリエイティブディレクターを務め、2021年3月に全国展開が始まった。コンセプトは「じぶんを愛そう。いい素材、いい技術、いいデザイン。」。靴下の累計販売数は、2023年11月時点で1,500万足を超えた。取り扱いは、Fashionsnapの2026年春夏の記事では全国約1万6,400店とされる。

では、ネットで言われる「丈夫さ」を、売る側はどう説明しているか。ラインソックスの公式商品ページに並ぶのは「足底はパイル編みの肉厚仕様」「抗菌防臭加工でニオイにくい仕様」の二つで、素材表示は「綿、ポリエステル、その他」。ボクサーパンツも、身生地は綿95%・ポリウレタン5%で、特徴は抗菌防臭だけだ。どちらにも、何回洗ったらどうなるという数字はない。2021年度グッドデザイン賞の受賞も載るが、耐久試験の話ではない。ブランドページで名前が出る素材は旭化成の「Paircool」だが、説明は吸汗、速乾、柔らかな肌触りに向いている。丈夫さではない。

ネットの評判

洗濯機と洗濯物
写真はイメージ Photo by Anton Savinov on Unsplash
衣類の品質表示タグ
写真はイメージ Photo by Andrzej Gdula on Unsplash

まとめに並ぶ声は、靴下からタオルハンカチ、ジョガーパンツ、折りたたみ傘まで広がる。「洗濯物しても生地丈夫でヘタらない」「履き心地いいし」といった短い実感が大半で、「オーストラリアに住む姉家族が日本に来る度に買って帰ってますね」という報告もあった。品質の理由を推し量る声もあり、親会社については「親会社の祖業は繊維だから、かも?」と書き込まれている。伊藤忠と取引のあった繊維関連会社の出身だと名乗る人物は、ファミマは流行より定番の衣料に力を置くので原価の配分が違う、と書いた。否定的な評価は、このまとめの中には見当たらない。

実感と、その理由づけ

集まったのは、いずれも使った人の実感である。洗濯の回数、乾燥機を使ったか、何足を何か月で履きつぶしたか。条件はそろっていない。比べる相手のユニクロ製品を同じ条件で試した結果も、まとめには出てこない。

目を引くのは、理由の説明までが同じ性質だということだ。「祖業は繊維だから」は語尾が「かも?」であり、原価の配分の話も、出どころは一人の経歴の自己申告である。公式で確かめられる伊藤忠商事との接点は別にある。ブランドページには、旭化成Paircoolが伊藤忠商事のリサイクルポリエステル原料「RENU」を使うと書かれている。ただしこれは環境配慮の話で、丈夫さの裏づけではない。

1,500万足という数字は質の証明ではなく、1万6千店という置き場所の多さの結果とも読める、と筆者は考える。買う側にできるのは、素材表示を読み、自分の洗い方で何か月もつかを数えることだ。「質が良い」の中身は、いまのところ言葉でしか共有されていない。

出典

よく読まれている記事

こちらの記事も

← 一覧へ戻る