10/6 22:19 更新

締切の1分前に、
初めてログインした

――日本陸連が調べたシステムの記録

写真はイメージ Photo by Joshua Hoehne on Unsplash

10/4 17:49 / 発信国:日本

送信したのは大人だった 大阪の中高生8人と、この年代の大会の目的

陸上の全国大会に大阪府代表として出るはずだった中高生8人が、出場できなくなった。大阪中学校体育連盟(大阪中体連)陸上競技部が、申し込みの締切日を勘違いしたためである。主催する日本陸上競技連盟(日本陸連)は10月3日、救済措置は行わないと公式サイトで発表した。

8人は中学生6人と高校生2人で、9月6日の選考会で府代表に選ばれた。大会はJOCジュニアオリンピックカップ第57回U16陸上競技大会で、10月23日から25日まで三重県伊勢市で開かれる。

送信したのは、本人ではなかった

日本陸連の大会ページには、申し込みの道が二つある。一般の選手は、自分でエントリーシステムにログインして申し込む。締切は9月7日午後6時だった。もう一つは「都道府県代表選手各1名の種目については、各都道府県の担当者がお申込みください」とある枠で、締切は9月24日午後6時。8人が選ばれたのはこの枠で、自分で送信する立場になかった。代表枠だけ本人が申し込めない理由は、大会ページにも公開されている要項にも書かれていない。

大阪中体連は、この9月24日を「28日」と思い込んでいた。日本陸連の発表では、担当者がエントリー画面に入ったのは午後6時の1分ほど前で、それより前に入った跡はない。手続きの途中で6時を過ぎ、送信のボタンが消えた。パソコンの不具合という報告が日本陸連に届いたのも、6時を過ぎてからだった。

吉村洋文大阪府知事は10月1日、日本陸連に要望書を出した。子どもたちが「自らの責めによらない事情によってその機会を奪われる」のは「教育的観点からも看過することのできない事態」だとして、出場機会の確保を求めた。日本陸連は、今回だけ救済すれば「公平性の点でも大きな問題が生じてしまいます」として認めなかった。

10月4日の時点で、8人に代わりの出場枠や記録会が用意されたという発表はない。大阪中体連陸上競技部は公式サイトで謝罪し、申し込み手続きと確認体制を見直すとしている。

時計の置かれた机とノートパソコン
写真はイメージ Photo by Flipsnack on Unsplash
学校のグラウンドとトラック
写真はイメージ Photo by Peter Robbins on Unsplash

ネットの評判

Yahoo!ニュースがこの件をまとめたページには、10月4日の時点で2,493件のコメントが付いた。掲示板のまとめサイトでは「スポーツってのはルールの上に成り立ってんだよ」のように、締切は守るものだという声が目立つ。公式記録を残さない形でも走らせては、という声もある。青山学院大駅伝部の原晋監督は10月2日、Xに「ルール守る事は当然」と書いたうえで、「大人都合で絶たれるのは悲劇すぎると思いませんか⁈」と続けた。U16大阪府代表選手保護者会がchange.orgで集める特例追加エントリーの署名は、同じ日に1万4,000人を超えた。

この年代の大会は、何のために開かれているのか

学校の側の大会には、要項に目的が書いてある。全日本中学校陸上競技選手権大会(全中陸上)の要項は、「中学校教育の一環として中学校生徒に広く陸上競技実践の機会を与え」ることを挙げ、「中学校生徒の相互の親睦をはかる」ことまで並べる。中学校学習指導要領も、部活動を「生徒の自主的,自発的な参加により行われる」活動としている。

8人が目指した大会は、学校の大会ではない。JOCジュニアオリンピックカップは、日本オリンピック委員会(JOC)が選手強化事業のジュニア対策の一環に位置づける大会群である。JOCは公式サイトで、優れた素質を持つジュニア競技者の発掘・育成に取り組むとしている。区切りは学年ではなく年齢で、8人のうち2人は高校生だ。その代表を選び、申し込みを担ったのは、義務教育の学校の団体である大阪中体連だった。

学校の側の大会は減る。日本中学校体育連盟は2027年度から、全国中学校体育大会で9競技を実施しない。

署名も原監督の投稿も、争点は8人を走らせるかどうかである。この年代の大会が何のためにあるのかという問いは、確かめられた出典の中では、どちらの側からも出ていない。

9月6日、8人は自分の足で代表の座を取った。9月24日午後6時、その名前はまだ送られていなかった。

出典

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